「ネット広告」はヨーロッパで苦悩している 新「EUデータ保護指令」が議決の見通し

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誰にいちばんの被害が及ぶ?

もっとも悪影響が出る企業は、消費者と直接的な関係性をもたないアドテク企業たちだ。事実、クリテオ(Criteo)やアップネクサス(AppNexus)のようなアドテク企業は、消費者と直接コミュニケーションをとることがない。

仮にコミュニケーションができたとしても、消費者はアドテク企業の企業名やブランド名を知らないため、コミュニケーションを断るだろう。

パブリッシャーにとっての効果は

パブリッシャーにとってはどのような効果がある?

大量の商品をサードパーティーに販売してもらうパブリッシャーは、苦しむことになるはずだ。もし仲介企業がターゲット広告のためのデータを集められないとしたら、パブリッシャーは収益を失い、「強制的」に別の収益源を探す必要に迫られるか、コストを圧縮しなくてはならなくなる。

誰がいちばんの得をする?

ある情報筋によると、GoogleやFacebook、Amazonなどは、顧客との直接的な関係性を多くのデバイスを通じて構築しているため、この新たな「EUデータ保護指令」の下であっても問題はないと考えられるという。

しかし、広告売上を失った独立系のパブリッシャーは、法令遵守することによって発生するコストを極力避けるため、Facebookの「Instant Articles(インスタントアーティクル)」などのプラットフォームに群がり、広告売上を分配することで妥協しようと考えているようだ。

罰金はあるの?

当然、罰金はある。罰金の金額は違反の度合いと企業の年商によって異なる。罰金は最大で世界全体における総売上の4%だ。最高2000万ユーロ(約26億円)という。

Jessica Davies(原文 / 訳:BIG ROMAN)

※[日本版]編集部で加筆・編集

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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