ポイント還元と現金値引き、どっちがお得? 行動経済学が教える正しいポイントの貯め方

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ポイント還元を好む心理には、どうやらこの「保有効果」が働いているようです。実際にポイントが貯まりはじめると、何となくうれしい気持ちになります。現金値引きの場合は、そのときは得をしたと思って喜びますが、そのうちにそんな値引きをしてもらったことは忘れてしまいます。

これに対してポイントは残高が表示され、それをいつでも自分の目で確認することができますから、いわば喜びが持続するのです。それにある程度貯まってくると、「もっと貯めたい」という心理が働いてくるようで、なかなか貯まったポイントを使おうとしません。

実際に家電量販店に行って、精算のためにレジに並んだとき、前にいるお客さんがレジの担当者から「ポイントが貯まっていますけど、お使いになりますか」と聞かれた場合、「そのままにしておいてください」と言っている人が多いように思えます。

おそらく、できるだけたくさんポイントを貯めて、まとめて大きな品物を無料で手に入れたいと思っている方が多いのでしょう。

正しいポイントの使い方

ところが、本当は「ポイントを貯める」という行為は、経済的に考えるとあまり合理的ではありません。なぜなら、ポイント自体には金利がつかないからです。

ポイントを使わずに貯めるという行為は、言わば豚の貯金箱におかねを貯めるのと同じことになります。銀行の口座に置いておけば、少なくともいくらかの金利はつきますが、ポイントも貯金箱も金利は1銭もつかないからです。

さらに言えば、貯金箱は自分でコツコツおかねを入れるだけで済みますが、ポイントは少なくとも、その10倍の買い物をしないといけません。つまり10%のポイントを付けてもらうためにたくさんの買い物をするという、非常に不合理なことをやっているということになります。行動経済学ではこれを「選好の逆転」と言います。

次ページポイントは目的ではなく「おまけ」
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