損害保険で業界メガ再編が一気に加速、各社を走らせた損保市場の危機



 08年3月期の連結業績を見ると、正味収保は統合3社合計の約2兆7000億円に対し、東京海上ホールディングスが約2兆2000億円。一方、経常利益は3社計の約650億円に対し、東京海上HDは1790億円。08年3月期はあいおい損保がサブプライム関連のクレジットデリバティブで評価損を計上したことで300億円ほどの下押し要因があるにしても、その収益力は大きく異なる。この差はあいおいを除く2社の損害率の高さ、中でも主力である自動車保険の損害率が高いことに起因する。損害調査費用の抑制や適正な保険料の根付けなどが可能になれば、東京海上HD並みの収益力が期待できる。

「規模の論理ではない」と、MSI3社連合の社長はみな口にするが、統合により分母(=顧客数や収入保険料)が大きくなれば強みが生かせるとのロジックを強調する。だが、ニッセイ同和による日本生命マーケット、あるいはあいおい損保によるトヨタ市場の深掘りで収保を伸ばせるとしても、効率化による体質強化は欠かせない。統合によりシステム関連の約200億円のコスト削減などを見込むが、下手をすると統合に伴う初期コストは削減効果を上回ってしまう。

市場環境の悪化が避けられない状況で、手をこまぬいていたら縮小均衡は避けられない。業界大再編が進む09年。各グループがいちはやく再編効果を打ち出せるかが試される。


(筑紫祐二 =週刊東洋経済)
写真は三井住友海上グループホールディングス、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社の統合会見
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