スタバの「フラペ」が1日40万杯売れる理由 なぜ好調なのか?関根純CEOに聞く(上)

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――スターバックスというブランドが確立したことも、対コンビニの優位性なのでは?

コンビニ各社のコーヒーは多くの店舗に導入され、定番商品になった(撮影:今井康一)

われわれがクオリティを下げた途端に、お客様はすぐに気づく。ブランド価値を向上させるには、消費者の店の使い方に合わせて店舗のあり方も変えていかなくてはならない。

タブレット端末やスマートフォンを使用する人がこの数年で一気に増えた。そういう方のために、Wi-Fi環境を整えたり、コンセントを設置してきた。これはTOB後にしたわけではない。この4~5年間でそういうことをやってきたことが、今の成果につながっている。

――2015年は「ブルーボトルコーヒー」や「コーヒービーン」といった米国初のコーヒー店が相次いで日本への進出を果たした。

生意気な言い方かもしれないが、よそ様と比べて何かをしようということはない。自分たちをブラッシュアップさせることに注力してきたし、これからもそれを続けていく。日本にはもともと喫茶店という文化があるし、「コメダ珈琲」やすかいらーくが運営する「むさしの森珈琲」という郊外型の店も出てきた。いろんな形態がどんどん広がっている。

サードウェーブのコーヒーはわれわれとはタイプが異なり焙煎は浅い。それを好む方はいいが、スタバは焙煎がしっかりしたものを提供している。各社がそれぞれのやり方で戦っているということだ。

米・シアトル辺りではコーヒー屋さんはスタバしかなく、他社をほとんど見ない。そのかわり、コンビニ以上にスタバがある。それは米国ブランドによる攻めの手法で、一気に面でおさえることでライバル勢を排除している。この手法はスターバックスに限らない。

日本は人口密度の高いところに競合がたくさんある。競合をいちいち気にすると自分たちが潰れてしまう。その中で際立ったブランドのイメージ性を保つには、かなりの努力をしなければならない。

スタバ独自の接客とは?

15年はブルーボトルコーヒーなどが日本進出し、ブームとなった(撮影:今井康一)

――人口減少とともに日本市場も縮小傾向にある。

少子高齢化による人口減は避けて通れない。それに対し、どういう具体策をとっていくのか。流通や小売りの世界では当たり前だが、自分たちのユーザーがどういう人で何を求めているかをしっかり分析する。それは店ごと、地域ごとによっても異なる傾向がある。われわれはチェーン店であることは間違いないが、チェーン的なことはしていないつもりだ。

――チェーン的でないというのは、具体的にどういうことか?

通常のメニューやドリンクは一緒だが、1000店舗あれば1000店舗の個性がある。お客様をしっかり見据えて、ニーズに応える店舗が集まったチェーンが今のスタバだと思う。

飲食店の形態はセルフとフルサービスがある。スタバはセルフだが、サービスをしていないわけではない。オペレーションを効率化するために、お客様に並んでいただき、商品をお渡ししているが、できるだけお客様とコミュニケーションをとるようにしている。

接客は「こんにちは」という会話からスタートするし、毎日来るお客さんとの会話も楽しむ。手が空いていればカウンターの前に出て行って直接サ-ビスをすることもある。

オフィス街と地方のショッピングモール内の店舗では雰囲気が違うので、サービス、オペレーション、店作りにしても、変えていく必要がある。チェーン店でも、そういうことを柔軟に考えてやってきたということだ。

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