ウーバー運転手のかなり曖昧な「雇用形態」 米国で台頭する「ギグ・エコノミー」の代償

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インスタカートは今現在もビジネスモデルの改善を図っている最中だが、「みな仕事ぶりがよくなり、配達漏れや商品の質の悪さに関する問題が減った。彼らはますます効率的になっている」と、同社の副社長ニキル・シャンバグは言う。

労働者を管理したいのか

ウーバーとリフトも、マンチェリーやインスタカートと同じ基本的な問題に直面している。労働者を管理したいのかどうか、ということだ。

労働者を管理する企業は、法律の視点からすれば望ましいと考えられる。そして、配送サービス会社は、評価の低いドライバーは使わないなど、管理する傾向もある。

「ウーバーやリフトがドライバーの業務のやり方を管理し、ドライバーがビジネスモデルに不可欠なサービスを担っているという事実からすれば、そこに雇用関係が存在していると言える」と、全米労働関係委員会の元委員長ウィルマ・リーブマンは言う。

ウーバーもリフトも、いまだドライバーを正規雇用していない。

新たな雇用形態で損をする人も

クルーガーとハリスが懸念しているのは、労働法が大ざっぱすぎるために、独立契約者が十分な保障を受けていないことだ。

しかし、まったく新しい雇用形態をつくれば政治的かつ法律的な混乱を招くだけでなく、それがなければ社員と分類される労働者たちから、享受できたはずの利益を奪うリスクもある。

スイス・ジュネーブに本部を置く国際労働機関(ILO)のヴァレリオ・デ・ステファノとジャニーヌ・バーグの調査によれば、イギリスとイタリアでは中間的な分類を設けたことで、実際そうした事態が起きた。

「性急に過ぎれば、有害無益になりかねない」と、トーマス・ぺレス米労働長官は言う。労働省はギグ・エコノミーの法的な位置づけについて検討しているが、ペレスはクルーガーとハリスが公表した文書について具体的なコメントは避けた。

ペレスは言う。「オンデマンドのやりとりが、雇用のセーフティーネットを後退させる口実に使われることを懸念しているのは間違いない」

(執筆:NOAM SCHEIBER記者、翻訳:前田雅子)

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