次に、図表2に示す労働分配率の違いを見ると、女性採用者比率の高い企業は低い企業と比べて9.2%高く、女性従業員比率では11.7%高い。一方、女性管理職比率の高い企業は、低い企業との差が3.5%にとどまる。
図表2 労働分配率の平均値の比較
[+]画像拡大
これらの結果から女性採用や女性従業員が多い企業の労働分配率は高いが、収益性はそれほど変わらないことがわかった。一方で女性管理職が多い企業の労働分配率はそれほど変わらないが、収益性が高いことがわかった。このことは上述の先行研究を踏まえれば、女性が活躍する企業における収益性の高さは、男女の賃金格差が影響したのではなく、むしろ女性管理職による生産性の高さが影響していると推察される。
さて、女性管理職による生産性の上昇とは具体的にどのようなものだろうか。たとえば、男性が多い管理職の中で女性の視点から改善を行うといったことが考えられる。すなわち、男性とは異なる視点により、女性が効率よく仕事を行い、そうした仕事ぶりが周りにも波及していくことなどが挙げられる。自分だけでなく周囲にも影響を与えられることが全体の生産性上昇につながっていると考えられる。
したがって、今後、女性従業員を管理職へと登用していくことが企業の収益増大における重要なポイントの1つとなるであろう。
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
- 1時間
- 24時間
- 週間
- 月間
- シェア
※過去1週間以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
トレンドウォッチAD
同一労働同一賃金の本格化、中小企業でのパワハラ防止対策の義務化など、今年は重要な改正法の施行が目白押し。2022年に施行される法律の要点に加え、昨年の4月に施行された改正民法も総点検。改正ラッシュへの備えを万全にするための法律虎の巻です。
- 新刊
- ランキング