太陽光発電バブル、土地争奪戦の実態 空き地が一転、金脈に
企業と自治体で思惑にズレ
土地争奪戦が熱を帯びる一方、好条件にもかかわらず、買い手が決まらないケースもある。
たとえば和歌山県は日照時間が長く、県内には6・5ヘクタールに及ぶ工業団地「コスモパーク加太」や、20ヘクタールの旧南紀白浜空港の跡地など、太陽光発電に適した空き地が多数ある。
買い取り価格が決まった4月以降を中心に、県の企業誘致を担当する課には80件以上の問い合わせが殺到。うち半数の企業は土地の見学にも訪れた。しかし、県側は「太陽光発電所はパネルを置くだけで雇用を生まない。工場や商業施設誘致で街を活性化させたい」(県企業立地課)と消極的。コスモパークの一部の土地では4月に発電用の貸し出しを始めたが、広大の土地のほとんどは空き地のままだ。
また、県が土地を売却したいのに対して、企業側は買取制度の期限である20年の賃借契約を求めている。「ゼロが一つ足りないのでは、と思うほど安値を提示してくる」(同課)ことも大きな壁となっている。
条件がマッチしないのは自治体の土地だけではない。発電用の土地を公募しているソフトバンクには、これまでに自治体だけで300件以上、一般の農家などからの土地提供の要望も合わせると膨大な数の応募が寄せられた。が、「農地は農業以外の目的への転用が禁じられているなど利用できないケースも多い」(藤井宏明・SBエネジー副社長)。