イギリスの金融スキャンダル、中央銀行にも飛び火
しかし、これが第1のストーリーとすれば、第2のストーリーがある。それは、同じ金融機関の中で報告する部署とは別の運用などを行う部署が、不正操作を儲けに悪用したという問題だ。例えば、LIBORに金利が連動する商品を保有していれば、LIBORが上昇してしまったら評価損が出るし、下落すれば利益が出る。05年からすでに操作は行われていたというのだ。
当局による調査は2年ほど前から進められている。英RBSや米シティ、JPモルガン、スイスUBS、独ドイツ銀行など多くが調査対象となり、すでに関係者の処分を実施しているとも伝えられている。邦銀も調査対象だが、資金調達できない状況になかったため、疑いの対象ではないとの見方が大勢だ。
シティの地盤沈下に拍車も
7月に入りスキャンダルは中央銀行を巻き込むまでに拡大した。
6月27日にバークレイズが、FSA(英国金融サービス機構)、CFTC(米国商品先物取引委員会)、DOJ(米国司法省)と和解金計2億9000万ポンド(約360億円)で和解協定を結んだと発表すると、批判報道が炸裂した。
キャメロン首相は議会に調査を命じた。イングランド銀行のキング総裁は舌鋒鋭くバークレイズを批判していたが、辞任に追い込まれたバークレイズのダイヤモンドCEOが4日の議会証言を前に、ポール・タッカーイングランド銀行副総裁との08年10月29日の電話メモを公開して逆襲に及んだ。副総裁が操作を容認していたとの疑惑が高まり、今度は副総裁が反論のための議会証言を要請するなど、事態はヒートアップしている。バークレイズ以外への波及の可能性も出ており、刑事事件にしようとする動きもある。