マイナンバーで「投資税制」はこう激変する

金利税制「天国と地獄」の終わり

金利商品は税制が難解なだけでなく、その計算も申告も面倒だった。ほとんどの人は税制自体を知らないだろうし、たとえ知っていても、よほどの富裕層かきまじめな人でないかぎり、確定申告して納税する人はいなかっただろうと推測する。税務署にとってもそれを調べ上げる労力は大きく、たいして効果がなければ徒労に終わる。税金を「納める側」も「取る側」も、お互いに面倒を増やすことはせず「なあなあ」で終わらせていた部分は否めない。

しかしマイナンバー制の導入によって、「税金を取る側」の悩みは解消する。すべての取引や資産残高が個人に紐付けされ、一元管理できるようになる(あくまで国内取引に限れば、であるが)。マイナンバーをもとにすべてのデータを集計すれば、かなり精度の高い金融財産目録を作ることができる。その気になれば個人の納税額を毎年勝手に計算し、勝手に口座から引き落とすことも「技術的には」可能になるのだ。

これと同じタイミングで金利商品税制の「天国と地獄」を解消し、株や株式投信と同じ税グループに統合することは理にかなっている。もともと、それらを別の税制にしていたことが変だったのだ。将来的には先物・オプション・FX証拠金取引などの「デリバティブ(税)グループ」も「株式(税)グループ」に仲間入りし、すべて特定口座の中で源泉徴収されるようになるかもしれない。

マイナンバー導入によって徴税上の大きな障害が取り除かれ、より公平で効率的な税制を構築する基盤ができた。2016年の投資税制改正はその第一歩だと考えている。

「知らなかった」では済まされない

そうなると今度は、「税金を納める側」も意識を変えることが必要だ。

これまでは調べるのが面倒だからと「お目こぼし」に預かっていた債券・公社債投信・MMFといった金利商品の値上がり益も、マイナンバーによって簡単に捕捉できるようになるからだ。

たとえば各証券会社に、「金利商品の取引損益」を全部出させる。それをすべてマイナンバーごとに集計し、利益額が大きい順にリストアップする。次に個人を特定し、「9000万円の償還差益を申告していませんね」などとお知らせする。納税しなければ取引を停止させたり、口座を差し押さえたり、健康保険・年金・各種手当の支払いなどをストップすることがある。それができるのも、マイナンバーで個人と口座が紐付けされ、資産やカネの動きに働きかけることができるからだ。

もはや「知らなかった」では済まされない。税法どおりに課税されるという前提で投資税制を学び、隙のない税務戦略を取る必要がある。

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