【産業天気図・建設業】民間建築は受注堅調だが原価上昇が痛手。公共工事回復絶望的で「雨」続き

建設業は、国内建設の官民両分野で競争激化が続くと見られ、07年度後半、08年度前半とも「雨」空が続きそうだ。
 官庁分野は楽観的な材料に乏しい。08年度政府予算の概算請求に絡み、額賀福志郎財務相は今9月の会見で「公共事業費の3%削減は堅持する」と改めて表明した。昨年吹き荒れた国土交通省の直轄工事での安値落札競争は一服したものの、地方自治体発注工事の一部では依然として大幅な低価格での入札が行われている模様だ。価格偏重の入札を改めようと「総合評価方式」などの新入札方式が拡大し、価格で負けても技術提案等の点数が良ければ落札できる「逆転現象」も増えてはきているが、全体的な利益率低下を完全にカバーするには至っていない。
 さらに、07年度前半から後半にかけては、旧防衛施設庁事件などの指名停止・営業停止といった行政処分が多数の建設会社に課される。防衛施設庁(9月より防衛省に統合)の事件では、国土交通省が今年7月に55社を指名停止処分にし、各地方自治体も続いた。各事件の処分が重複した結果、約1カ月もの営業停止となるゼネコンもある。ただ、今回の処分はあまりに多くの業者を対象にしているため、「適正な競争入札を行えない」として、工事発注自体を見合わせる自治体も現れそうだ。
 一方、民間分野は、工場などの設備投資関連をはじめ、都市再開発の活性化によるマンション建築などで受注面は堅調だ。今2008年3月期第1四半期では、鹿島<1812>が東京都下の大型案件を受注するなど、民間建築の受注が前年同期比でほぼ倍増、ほかの最大手ゼネコンでも、大成建設<1801>が前年同期比で減少したものの、清水建設<1803>が同じく約37%増、大林組<1802>が15%増と好調な滑り出しとなった。しかし、民間建築の受注増の一部は建築基準法改正を前にした「駆け込み需要」が原因ともいわれ、通期で同様の好調さが持続するかどうかは判然としない。
 また、利益率の面でも、首都圏の建築では設備工事業者が不足しており、発注価格が上昇している。鉄筋・型枠などの専門工事業者も依然足りず、建設各社は工事原価の抑制に苦労している状況だ。
 官民両分野とも、それぞれの問題点が短期で解消する見込みは薄く、08年度前半も利益確保に苦戦するゼネコンは多いと見るべきだろう。
【鈴木 謙太朗記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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