32歳総合商社マンは、なぜ蒲田に住んだのか 人生ノリノリだった拓哉に訪れた挫折
ちなみに、サエコの歴代元彼のフリーザ並みの戦闘力の高さにドン引きしました。
東大ロースクール卒の弁護士に、アイビーリーグMBAホルダーの外資系コンサルに、眼科の開業医に、果ては資産何億だよっていう起業家まで……。たしかに、彼女の交際した男をならせばそれくらいになるんでしょうね。
組織の中のサラリーマン、大海を知らず
女子大の女の子からは結婚を急かされてたくらいです。ゼクシィーが突如として現れるらしいぜ、とか余裕ぶっこいで揶揄してたら、いきなりのしっぺ返し。親父たちならいざ知らず、僕と同世代で、圧倒的に僕より稼いでる男たちがいるなんて……鼻をへし折られましたよ。
32歳。同世代のヒエラルキートップにいると思ってあぐらをかいていたら、いきなり、天井を破られて、さらに上に空があったと気づかされた感覚です。組織の中のサラリーマン、大海を知らずですね。知識と教養はそれなりに身につけたつもりだけど、上には上がいて、僕はヒエラルキートップでも何でもなかった。
街中で、フェラーリや、ランボルギー二を見るたびに、どんな男が乗ってるんだって、さりげなく見てしまいます。そんな時の自分、めちゃくちゃ情けなくて、器の小さな男だなって嫌気がさします……。
32歳って、微妙な年ですね。会社の中でも、自分の未来が何となく見えつつある。かといって、まだ固まってない。がむしゃらにやれば、いかようにも変えられる一方で、違うチャンスにかけるとしたら、そろそろ時間がない。遠くで汽笛が鳴って船が出航しそうな、まさにそんな時です。
実は、試しに、ヘッドハンターに会ってみたんです。
僕のキャリアで転職すれば、給与は1.5倍も見込めるそうですよ。商社のブランドは強いんですね。スタートアップ系の経営陣として迎えられて上場を目指してキャピタルゲインでウハウハとかもありですよね(笑)。まぁ、いずれにしても、もう少しだけ、この会社でやってみて、認められなかったら、違うステージで挑戦してみようかなと思っています。僕の市場価値はなかなかなものでしょうし、適材適所が、僕も会社もどちらも幸福な道ですから。
それにしても、「挑戦」って心地のいい言葉ですよね。
サラリーマンの限界を知った拓哉。3年後、35歳の拓哉はどの街で何をしているのだろう? 素敵な30代へのパスポートを手にすることはできたのか?
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