32歳総合商社マンは、なぜ蒲田に住んだのか 人生ノリノリだった拓哉に訪れた挫折
「二日酔いも給料のうち」って先輩には言われてましたし「遊ぶことも自分磨き」と思って、毎日昼夜問わずとにかくフルコミットしていましたし、誰よりも頑張っていたと思っていました。でも、もしかしたら、頑張るベクトルが違ったんでしょうか?
矢沢永吉が、昔「20代頑張ってないやつは、パスポートもらえないんだよ。」って言っていました。「パスポートに“判”押してもらわないと 30代入れないから。」って。僕、歳だけは重ねてきたけど、まだパスポートに、判子を押してもらえていない気がしてしまうんですよね……。
遊びから仕事へ…「西麻布」から移り住んだ「蒲田」
そして、少し、自分をクールダウンさせなくてはいけないと思ったんです。今、自分に必要なのは時間だなと。仕事柄、飛行機にも新幹線にたくさん乗るので、羽田、品川に近いところでどこかないかなと探したときに、たどり着いたのが蒲田です。
今までは、遊び場をホームにしていましたが、ちょっと本腰入れないとあっという間に取り返しがつかなくなると思って。
渋谷区とか港区みたいな洗練された感じはないですが、駅の発車ベルは蒲田行進曲だったりいい感じで哀愁にあふれていて逆に渋いですよ。呑川という川沿いのマンションの1LDK、15万。広くなったのに、家賃は下がりました。車を買ったのですが駐車場込みでも18万弱です。港区だと駐車場代5万とかしますからね、さすがにばからしいですよね。
自分に時間を与えるとか言ってるくせに、相変わらず飲み屋の充実度合とか、遊び場のチェックなんかも一応はします(笑)
おしゃれな店は少ない代わりに、うまくて安い店が多いんです。たとえば、蒲田ギョーザ御三家の『你好』『金春』『歓迎』は有名ですよね。特に『你好』は外せません。元祖羽根つきギョーザの発祥の地ですから。
とんかつ御三家もあるんですよ。『丸一』『檍』『鈴文』あたりは、もう何度もお世話になっています。怪しい路地にあるけど、ベトナム料理『ミ・レイ』はいつも大混雑の人気店ですし、『初音鮨』は、飛び抜けてレベルが高いすし屋です。
蒲田の駅前には、ワンカップで酔っ払うオヤジたちがいて、こうはなりたくないなって思いながらも、皆つらいんだなって、すごい共感します。飲まなきゃやってられないことだってあるんですよね。最近は、僕も仕事帰りコンビニで、缶ビールを買って、濁った呑川を見ながら底知れぬサラリーマンのつらさをしみじみと感じています。