一方、高岡市では、ささやかながら興味深いアイテムが生まれていた。地元を中心に北陸新幹線沿線を紹介した「手ぬぐい」だ。開業準備のため発足した「新幹線まちづくり推進高岡市民会議」(事務局・高岡市役所)のアイデアで生まれたという。
「高岡圏域の居住者には『さあ、新高岡駅から。』、富山県西部や石川県能登地方、岐阜県飛騨地方を目指す観光・ビジネス客に対しては『さあ、高岡へ。旅は続く、能登へ、飛騨へ。』というキャッチコピーを使い分けてきました。
首都圏や関西圏から新高岡駅へお越しいただく方々に、路面電車・バス・観光列車など、さまざまな二次交通網を利用できることをお伝えするため、アクセス網と観光資源を組み合わせたデザインを採用しました」。推進会議の事務局を務める高岡市交通政策課・新幹線担当の小椋大輔さんは力を込める。
高岡市でいただいた手ぬぐいを沿線他地域で広げると、新幹線活用の課題や可能性をめぐって話が弾んだ。小椋さんは「手や顔を拭いたりするだけでなく、のれんやバッグ、包み等、さまざまな場面で使用することを想定している」というが、何よりコミュニケーション・ツールとして大いに役立った。
各駅停車が結ぶ地域の縁
北陸新幹線「かがやき」は観光客やビジネス客を大量に、素早く、各県庁所在地へ送り届ける。一方で、各駅停車の「はくたか」はやや遅く、しかしこまめに着実に沿線を結ぶ。
開業を契機に縁が生まれた長野、高岡の両商工会議所は、7月に初の合同ゴルフコンペを実施した後、11月にはもう1度実施したと聞いた。「かがやき」だけに目を奪われることなく、飯山や上越、高岡といった街々のたゆまぬ模索と努力を、時間をかけてウォッチしていけば、人口減少社会を克服するヒントが見えてくるかもしれない。帰路の「はくたか」で、そう感じた。
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