北陸新幹線「かがやき」が通過する駅の模索

異彩を放つ長野北端「ブナの駅」飯山

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飯山線ホームから見上げた飯山駅舎

飯山線ホームから見上げれば、同時に開業した糸魚川駅(新潟県)や黒部宇奈月温泉駅(富山県)に比べて、二回りほど大きく感じられる。改札口からコンコースに足を踏み入れると、丹念に造り込まれた空間に目を奪われる。

例えば、1階にある信越自然郷・飯山駅観光案内所は高級ホテルのフロントを思わせる造りだ。木製のいすや机を含め、木の温もりに包まれた室内は、高級感にあふれながらも親しみやすさが感じられ、不思議な空気を醸し出している。パンフレットの棚に近隣の地図を組み合わせるといった心配りがありがたい。

コンセントやwi-fiも自由に使えるが、これは他の新幹線駅には意外なほど少ないサービスだ。案内所隣の信越自然郷・アクティビティセンターには、マウンテンバイクやアウトドアグッズが居並ぶ。情報提供に加えてツアーの手配、機材レンタルなど、多様な役割を果たしている。

広域にわたるビジターセンターの機能が駅のデザインに溶け込んでいる姿もまた、他の新幹線駅、特に大量の旅客をさばかざるを得ない県庁所在地級の駅にはみられない光景だ。

「お客さん目線」の駅舎づくり

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駅1階にある、wi-fiやコンセントを備えた観光案内所

「徹底的に『お客さん目線』にこだわった。新幹線が運んでくる旅客は、今までの旅客とは異なる人たち。内装のしつらえを市職員と徹底的に考えた。楽しい駅、灯のあるところに人は集まる。

『生活密着』を目指しながらも、それをおしゃれに実現したかった」。駅舎づくりに携わった、飯山市の観光研究者・木村宏さんはこう振り返る。

木村さんは東京都に生まれ、ホテル・リゾート開発の企業勤務を経て、1993年に飯山市へ移り住んだ。ペンション経営の傍ら、地元のグリーンツーリズム事業の開拓に携わり、中核施設「なべくら高原・森の家」の開設と運営を手がけた。さらにNPO法人・信越トレイルクラブの設立にも力を注ぎ、事務局を担当した。

新幹線開業を控えた2010年、飯山市観光協会は飯山市振興公社を吸収して一般社団法人「信州いいやま観光局」に移行した。その際、事業課長兼企画開発室長に就任し、その後は事務局次長として市民団体や農業者、商工業者ともつながる連携の要となった。市内・外両方の視点に立ち、地元の風土とネットワークに根ざした観光の姿をつくり上げてきた人物だ。

「さまざまな組織や施策に横串を刺して、新幹線に備える役割」(木村さん)が一段落した2015年夏、信州いいやま観光局を離れて、観光研究者の道へ踏み出した。

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