教員の1.3万人、1.44%が「メンタル不調で休職」、病休の代わりの先生も配置されない…《深刻だった沖縄・那覇市がやったこと》

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このように、他自治体も続いてほしい取り組みだが、那覇市としては、来年度はこの事業を継続しない意向だという。

オンラインはやめて対面での体制に戻すようだ。先月には沖縄県教職員組合は事業継続を求める署名を1438筆集め、那覇市に提出した(琉球新報2026年1月22日)。

もちろん、いつまでも国の予算に乗りかかるわけにはいかないだろうが、メンタルヘルス対策というのは、1年や2年の短期で大きな成果が望めるものではない。

那覇市教委ならびに沖縄県教委の考えもあろうが、私はこれまでの取り組みから重要なポイントは少なくとも2つあると考える。この2点が継続発展できるかどうかに注目したい。

メンタル不調、離職を減らす2つの注目点

1つは、一次予防、二次予防、三次予防を連関しながら実効性を高める取り組みにしていて、バラバラではない、ということだ。教科書どおりと言えばそうなのだが、簡単なことではない。

これまでの多くの学校ならびに教育行政の取り組みは、先進企業などと比べると周回遅れで、「管理職研修をしました」、「相談体制は作っています(相談に来ない人が悪いと言わんばかり)」「ストレスチェックを実施しています(負担感のある人ほど受けない)」といった個々の取り組み、それも外形的に取り組んでいる感を出すものにとどまっていた。

産業医や相談員への利用、ストレスチェックの活用が低迷しているなら、なぜそうなのか、考察することが不足していて、取り組みの実効性に疑問があった。ここで見てきたように、那覇市での取り組みは教職員と保健師との心理的、物理的距離を縮めるなど、工夫が随所にある。

もう1つは、保健師や産業医などの有資格者ならだれでもよいというものでなく、文科省の事業に参画した事業者(Avenir)が見立て、トレーニングした産業保健師が活躍したことだ。

学校の事情に知見があり、かつメンタルヘルスの専門家が関わらないと、なかなか教職員は相談したいと思えないし、相談してよかった、ということにもなりにくい。

仕組みや制度を整えることはもちろん重要だが、最後は人次第というところは残る。とりわけメンタルケアのようなセンシティブなことならなおさらだ。

以上2点がうまく進むなら、文科省事業を“卒業”して自分たちで推進するのは賛成だが、実際はどうだろうか。他自治体も那覇市の挑戦と今後の状況から学んでほしい。

参考文献
・朝日新聞2026年1月14日「精神疾患で休む教員、那覇市でなぜ減少? 保健師活用で相談しやすく」
・大石智「誰が教員のこころのケアを担うのか」『内外教育』2025年7月8日
・Avenir提供資料(文科省モデル事業に従事)
・教育新聞2024年10月30日「管理職任せのメンタルヘルス対策 首長部局主導で抜本的な立て直し」
・藤川伸治「教員の精神疾患による長期病休者1万3310人」『内外教育』2026年1月30日、「教員の病気休職対策を『成果』で測る」『内外教育』2026年2月6日

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

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