教員の1.3万人、1.44%が「メンタル不調で休職」、病休の代わりの先生も配置されない…《深刻だった沖縄・那覇市がやったこと》

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文科省のモデル事業を活用して改善に取り組んだ那覇市では、24年度の精神疾患による休職者は過去最大となった前年度から14人減の32人となった。

メンタルヘルス対策は一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見)、三次予防(復職支援)の3つに分類することが一般的なので、これに沿って見ていこう。

メンタルヘルス対策の分類

メンタルヘルス対策の分類
(出所)厚生労働省資料「メンタルヘルス対策」

※外部配信先では図表がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください。

那覇市では何をやった?「3つの予防」対策

◎一次予防:専門家によるミニ研修

授業準備などをしなければという思いで、睡眠を犠牲にしてまで頑張る教員は多い。つい無理をしすぎて、自分の心身を大切にできていない人が少なくない。これを本人の意識やタイムマネジメントのまずさだけのせいにはできない。

業務量の多さも大きな原因だし、健康についての知識不足という問題もある。校内研修や教育委員会主催の研修でも、授業づくりやICT活用、不祥事防止のものが多く、健康づくりは思いのほか軽視されているのではないだろうか。

那覇市ではメンタルヘルスに詳しい産業保健師が教職員向けにミニ研修を毎月実施した。産業保健師とは保健師と看護師の両方の資格を有して事業所内で働く人を指す。

忙しい教職員が少しの時間で見られるようにオンデマンド動画にした。「ストレス管理とリラクゼーションテクニック」「運動によるこころの調整」など、すぐにできることも含めて伝えている。

◎二次予防:顔の見える関係で相談しやすく

一次予防と二次予防の両方に関わるが、那覇市では精神疾患の予防と早期発見に関わる情報をLINEを使ってスマホで簡単に見られるようにした。外部の相談窓口の情報や研修動画の視聴、セルフチェックなどができる。

那覇市では、教職員にとって、前述のミニ研修やLINEでのやりとりを行う産業保健師が相談に応じる。顔見知りの関係になっているので、相談へのハードルが下がる。他自治体では、産業医や保健師がいても、ほとんど相談に来てくれない(利用率が低迷している)ところもあると聞く。

産業医がごくたまに訪問して校長などとともに校内を回るくらいでは、おそらく教職員にとっては遠い存在であろう。忙しい教職員が自習などを同僚にお願いしてでも、相談に行きたいと思えるものにしないと、早期発見、早期対策は進まない。

◎三次予防:校長任せにせず、専門家が復職支援

多くの自治体・学校では、休職している教職員のケアは校長が担っている。文科省が10年以上前に作成した有識者会議の報告書(「教職員のメンタルヘルス対策について(最終まとめ)」2013年)でも「校長が主治医、産業医、嘱託精神科医等と連携しつつ、本人と段階的な目標を共有し、確認しながらプログラムを実施」することになっている。

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