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危機の時代に「カリスマ的救済者」の出現が持つ歴史的意味/総選挙での自民党圧勝と再魔術化する世界

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確かに1国において民主的政権を死守しようと努力しても、外圧によって大きな影響を蒙ることがある。ワイマール体制の崩壊もある意味外圧によってもたらされた部分が大きかったからである。

ドイツの歴史家ホルスト・メーラー(1943年~)はこう述べている。

「ヨーロッパ諸国の密接な相互依存を鑑みると、ほかのEU加盟国でナショナルポピュリズム的運動、あるいは左翼ポピュリズム的運動がたえず膨張し続けていることは、安定した民主主義諸国にとっても脅威である。隣の民主主義国家が危機にさらされることになれば、あるいは完全に崩壊することになれば、「至福者の島」(楽園)をたもつことなどほとんど不可能なのだ」『ナチズムは再来するのか?』(板橋拓己、小野寺拓也監訳、慶應義塾大学出版会、2019年、31ページ)

「恐怖の男」の登場

とりわけ民主主義の象徴ともいえるアメリカが、トランプ政権によって大きな危機を迎えていることは、世界の人々に民主社会の危機を増大させている。

「恐怖の男」(ジャーナリストであるボブ・ウッドワードの言葉)といわれる危険な人物が、大統領選挙という直接国民に訴える場で勝利したこと、そしてこの人物が議会や国際法を乗り越え、暴走体制に入ったことは、今世界にとって脅威である。

カリスマ的救済者を望む声がワイマール体制を崩壊させたように、アメリカ民主主義、そして世界の民主主義を崩壊させる可能性はある。日本における高市人気も、トランプ人気と似たところがある。政治、経済、外交などでの不満のいらだちを独裁者的権力者の出現に期待する声がヒトラーを呼び出したように、世界をこうした権力者の時代にする可能性はある。

近代社会が魔術を乗り越える脱魔術化の時代であったとすれば、21世紀の今、われわれは再度魔術の時代に引き戻され再魔術化の時代に入ったとも言えるのかもしれない。願わくば、こうした傾向が一時の悪夢にすぎないものであってほしいものだ。

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