【独自】JR東日本の「3月運賃改定」に向けた秘策/オフピーク定期券の浸透狙い、水面下で練る「JREポイント」の上乗せプラン

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JR東日本は今回の運賃改定を機に、オフピーク定期券の対象エリアを拡大する。これまでは通常の幹線よりも割安な運賃が適用される「電車特定区間」に範囲を限定していたが、新たに久喜、鴻巣(ともに埼玉県)、蘇我(千葉県)、平塚(神奈川県)の4方面が追加される。

データ分析に基づき、「山手線内までの通勤実需が多い方面」へと対象を広げた。対象エリア内では、一律で通常定期の15%引きという設定を維持する。

現在、オフピーク定期券の利用者は約27万人。交通系ICカードアプリ「モバイルSuica」の利用比率は約50%に達する。これは通常の通勤定期券の利用者の約4割弱に比べて10ポイント高い。スマートフォンと連携できる強みを生かし、JR東日本は今回の運賃改定を「15%割安+ポイント還元」の訴求力を高める絶好の機会と位置づけている。

JR東日本の担当者は、「エリア拡大により、新たに対象となる方面の顧客もいるので、そういった方々にどう響かせるか(実質的なメリットをどう浸透させるか)を考えていかなければならない」と強調する。

ただし、景品表示法などの法的制約に加え、自社グループのクレジットカード「ビューカード」などによる既存のポイント施策との重複も考慮する必要がある。これらのトータルバランスが適正かどうかの確認も進める構えだ。

法人向けにもプロモーション強化

オフピーク定期券のいっそうの利用促進に向け、プロモーションも強化する方針だ。「To C(個人)」と「To B(法人)」の両面で展開する。

すでにテレビCMは、一般の若手社員や消費者層と、企業の意思決定層のそれぞれの認知度向上を狙うつくりとしている。前者を念頭に起用したのが俳優の佐野勇斗氏で、後者を意識して起用したのが芸人のマキタスポーツ氏だった。

オフピーク定期
「To C(個人)」と「To B(法人)」の両面でプロモーションを展開(写真:JR東日本)

25年からは、HR(人的資源)系の見本市などで企業経営者や意思決定層に対し、オフピーク定期券による時差出勤は「社員のウェルビーイング(働きやすさ)」にもつながると訴求している。

3月の対象エリア拡大に合わせて、SNSや電車内の動画モニター「トレインチャンネル」でも、同様の内容を盛り込んだコンテンツを流す計画だ。タレントのみならず、JR東日本の現役社員も出演する構成で、すでに撮影を終えているという。

24年5月に独自の金融サービス「JRE BANK」を開始した際、一時受付中止に追い込まれるほどに口座開設の申し込みが殺到した。理由はJREポイントを最大6000ポイント付与するという破格のキャンペーンにあった。この成功体験の再来をオフピーク定期券で狙っているとみていいだろう。

東洋経済オンラインでは、JR各社が直面する課題と変革の行方について「JRグループの地殻変動」などの各記事で詳報しています。
梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

鉄道・人材関連業界を担当。過去に建設、不動産、小売り、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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