グリーンランド危機を回避、「トランプ米大統領の扱いに長けた人物」との異名を持つルッテNATO事務総長の手腕はどこが優れていたのか
フィンランドのストゥブ大統領はダボスでロイターの取材に「NATO事務総長の職務は常に重要だ。そしてそれが、冷静沈着で落ち着きがあり、米大統領と話をすることができるマルク・ルッテという人物によって体現されているなら、われわれは今この瞬間に彼がこの職に就いていることに感謝すべきだ」と語った。
トランプ氏は以前、米国はグリーンランドを所有する必要があると述べていた。トランプ氏の軌道修正がどの程度ルッテ氏の働きかけによるものかは不明だ。トランプ氏はルッテ氏との会談前には既に軍事力行使を選択肢から外していた。
しかし外交筋の多くは、トランプ氏の2期目最初の1年において、NATOをまとめ上げ、欧米の傷ついた関係を維持してきた功績はルッテ氏にあるとみている。欧州の外交官は「ルッテ氏は完璧ではないし、同盟国は彼や彼の運営スタイルについて異なる見解を持っているかもしれない。しかし困難な時代にNATOをまとめる上で非常に優れた手腕を発揮している」と評価。「トランプ氏は譲歩する用意で(会談に)臨み、ルッテ氏は完璧な相手だった」と振り返った。
各国が外交的なやり取りに奔走し、欧州諸国がグリーンランドの割譲を拒否するデンマークに強い支持を打ち出したことも一因になったが、それでもルッテ氏個人の介入が決定的だったとみられている。
NATOの高位の外交筋によると、今回の合意からルッテ氏がトランプ氏の「スピードダイヤル(すぐに電話がつながる相手)」であり続けるための行動を取っている理由が読みとれるという。
トランプ氏は「ダディ」
ルッテ氏は昨年6月にもトランプ氏と交渉し、NATO加盟国は軍事および関連支出の対国内総生産(GDP)比を5%に引き上げるというトランプ氏の要求に同意する合意を取りまとめることに成功している。この際にも愛想を振りまき、トランプ氏は国際紛争における「ダディ(父親)」だと持ち上げた。トランプ氏が喜んだのは明らかで、21日のダボスでの演説でも「ダディ」という言葉を持ち出した。
ルッテ氏は現在、NATO加盟国がグリーンランドと、より広範な北極圏の安全保障を強化する枠組み合意を提案している。これは中国とロシアが脅威をもたらしているというトランプ氏の懸念に対処するものだ。

















