そもそも、道木さんの勤務校で残業が常態化していたのは、生徒へのサポートの手厚さが理由だ。比較的学力が低いため、生徒が無事卒業できるよう補習の時間を十分に設けていたほか、面接練習やエントリーシートの添削といった進路指導にも力を注いでいた。
問題は、それらがすべて放課後に行われていたことにある。校長は残業を前提とした教育方針を掲げているにもかかわらず、残業時間を削れと要求していたわけだ。
「私は、教員は人のために働き、直接貢献できる仕事だと思っていますので、生徒のために時間をかけることに不満はありません。残業時間を減らすならば、そうしたサポートを別の時間で行うか、ほかの業務を減らしたり効率化したりする必要があるのではないでしょうか」
しかも、社会が複雑多様化していく中で、教員の業務負荷は増している。LGBTQへの対応や学習権の保障など、以前はなかった業務が次々に加わっていると道木さんは話す。
「DXの進展によって、テスト採点などは大幅な時間短縮に成功していますが、効率化できた以上に新たな業務が増え、いつも時間に追われていると感じています。残業時間は、そうやって必要な対応に時間を費やした結果なので、単に数字を整えようとするのは無意味だと感じています」
「虚偽の申告」を助長させる教育界の構造
実は、前出の文科省指針はそうした事態を想定している。「留意事項」の1つ「虚偽の記録等について」で、「実際より短い虚偽の時間を記録に残す、又は残させることがあってはならない」とあるのだ。
にもかかわらず、道木さんが受けたような改ざんの強要が行われている状況は、もっとシビアに見るべきだろう。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら