「公立学校の勤怠管理記録は公文書なので、事実と反した内容を記録すると罪に問われます。そのことを十分に知っている校長が、堂々と改ざんを強要してきたことにかなり驚きました」
超過時間の少ない月があったことも、「調整」という言葉の軽さにつながっていたようだ。とりわけ45時間30分だった月に対しては、「6日分を1日5分ずつ短くすればいいでしょう」「45時間を超えたらダメなんです」と強い口調で“アドバイス”をされた。
「正直、怒りが湧いてきました。自らを安全圏に置いて手を汚さないのですから、“闇バイト”と変わりません。このままにはしておけないと思い、『事実をそのまま勤怠管理システムに入力したい』とだけ伝えました」
道木さんは、頑として首を縦に振らずに校長室を出た。不当な人事評価を受ける可能性もあると覚悟したが、そういったこともなくその年度は無事に終わる。
校長は異動となったので、同じことが他校でも展開されるのは良くないと考えた道木さんは、教育委員会への公益通報に踏み切った。しかし、結果は期待を大きく裏切るものだった。
「半年後に出てきた報告書では、『改ざんの強要やハラスメントに該当する部分はなかった』と記されていました。校長は何の処分も受けていません。校長が代わったにもかかわらず、勤務校の雰囲気も変わりませんでした」
残業時間の多寡ではなく「事実を歪める」ことが問題
幸い、道木さんは通報者として不利益を受けることはなかった。ただ、これは公益通報制度の基本が守られただけにすぎない。
校長室でのやりとりの録音から、コンプライアンス違反が明らかだったにもかかわらず、事実を歪める裁定が下されたことには疑問が残る。
なお、道木さんが公益通報をしたのは、事実を歪めている状況に対してのもので、残業時間の多寡は問題にしていない。「仕事は持ち帰らないようにしています」と話すように、残業をよしとしているわけではないが、必要であれば受け入れるというスタンスだ。


















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