VISAが始めたB2B決済は、どこまで便利なのか 銀行に出向く必要がなくなった

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まず、導入企業はネットプロテクションズとの間でサービス利用契約を締結する。そのうえで、個別の取引に際して、ウェブ上で販売先の企業名、住所、電話番号、メールアドレス、注文情報を入力する。それらの情報を元にネットプロテクションズで独自の手法によって審査し、与信の可否を判断する。ネットプロテクションズによれば、与信通過率は約98%に達しているという。

売り手への代金支払いは「月末締め翌々月10日払い」(40日サイト)。債権譲渡によってネットプロテクションズにリスクが移行するため、売り手企業には代金の回収不能は生じない。一方、利用に際しては、「手数料3~5%、月額固定費0~1万2000円、請求書発行・郵便料金90円」などがコストとしてかかる。ただし、これらはあくまでも目安で、取引条件によっては手数料率が3%を下回る場合もあるという。

実際に導入している企業を訪ねてみた。

トークノート(東京・港区)は、企業の社内に特化したコミュニケーションツール「Talknote」で大きく業容を伸ばしている新興企業だ。Talknoteの導入企業は現在、約1万5000社にのぼり、現在も増え続けている。そのため、事務作業の効率化が課題になっているという。

マンパワーが限られるベンチャーにメリット大

2013年4月に「FREX B2B後払い決済」を導入するまでは、月末締めで請求書を作成して社内で郵送作業をしていた。それが現在は、「ネットプロテクションズに業務を委ねることで、請求書発送業務の手間から開放された。その結果、人材採用などほかの業務に時間を振り向けることができるようになり、生産性の向上につながっている」(トークノートで人事・広報を担当する中根里紗氏)。

ネットプロテクションズでB2Bビジネスを担当する小猿雄一・BtoBグループセールスマネージャーは、「急成長しているベンチャー企業にとって、請求管理などのバックオフィス業務に割くことができるマンパワーは多くない。当社は与信審査から入金管理、督促までいっさいを担うことで、取引先企業の業務負荷の大幅軽減につなげることができる」と強調する。

また、新規案件であってもすぐに取引の可否が判断されるうえに、代金回収リスクがないことも大きなメリットだ。7月には、従来の銀行振り込みに加えて、コンビニエンスストアでの支払いも新たに導入した。

ビザやネットプロテクションズが提供する資金決済サービスはまだ拡大の途上だが、企業の課題解決ニーズに着目した仕組みは、B2B市場での資金決済のあり方を変革する可能性を秘めている。 

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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