香苗さんは、当時の自分を「自分に軸がない」「他人からよく見られたい気持ちが強かった」と表現します。
「今思えば、他人からどう思われるかなんてたいしたことではないのに、いつしかどこに行ってもそれを気にしていました。次男の不登校はそのことに気づかせてくれたと思います」
香苗さんは、「今、長い年月をかけてリスタートしているところです」と静かに語ります。
息子のことを少しずつ理解し、成長を見守る夫
さて、転勤や海外赴任という生活は、ご主人の仕事を軸に成り立っています。では、香苗さんのご主人は次男さんの不登校をどのように受け止めていたのでしょうか。
「夫は不登校初期のいちばん大変な時を見ていません。そのため、最初は『甘えているだけだ』と思っていたようです。もともと精神的に強い人なんです」
そんなご主人と次男さんが赴任先の地で同時期に感染症にかかり、ふたりは同じ病室で入院生活を送ることになりました。
「そのとき、症状が軽かった次男が夫の介助をしてくれたんです。シャツを洗ったり、身の回りのことを手伝ったり。体調がいいときにはふたりでアニメを見ていたようです。私がそうだったように、夫は夫の生い立ちを見つめ、いろいろ感じることがあったのでしょう。少しずつ親子の目線が揃っていったように思います」
香苗さんはご主人のことを、「自分の考えは持ちつつも、最終的には家族の意見を受け止めてくれる人」だと話します。あるとき、ご主人は日本への本帰国を希望し、会社に相談したそうです。
「それまでの夫は『変えられないことは変えられない』という考え方の人でした。そんな夫が初めて、自分のキャリアよりも子どものことを優先したんです」


















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