爆上がりする「日本の大学の授業料」がもたらす2つの不幸、"少子化と不平等"の悪化で社会全体が衰退に向かう…悪しき大学政策の根底にあるもの

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ここ数年、一部の政治家の煽動により激化している外国人排斥のプロパガンダが、これらの背後で底流となっていると推測される。しかし、ただでさえ少子化による若年人口減少が進み、また経済難やキャリア不安により大学院進学者が減る中で、海外からの留学生への支援を途絶させれば、日本の学術研究そのものの運営や人材育成の衰退は加速するおそれがある。

私立大学はいっそう急激な授業料値上げ

国立大学でもこうした状況がある中、もとより高額の授業料を課してきた、そして日本の大学の中で大きなボリュームを占める私立大学は、粛々と値上げを進めている。

◎2025年度 公立大学・私立大学 [学問分野別]の学費平均額(単位:円)

2025年度 公立大学・私立大学 [学問分野別]の学費平均額
※旺文社調査・算出による平均額(夜間含む/大学・学部単位で集計、算出)。2025年の学生募集をした大学を集計。通信制のみの大学、専門職大学は含まない。初年度納入金以外に学生教育研究災害傷害保険料の納入、学友会費、実習費などの納入が必要な場合がある。公立大学で地域内・地域外の区分がない大学は地域内に含む。対前年で1000円以上の増減を、各々上向き矢印・下向き矢印で示した。学部系統・学問分野の各分類は原則、『螢雪時代4月臨時増刊 全国大学 学部・学科案内号』に準じた(出所)旺文社教育情報センター「2025年度 大学の学費平均額」2025年8月22日、図表4

国立大学は学部系統により授業料の差を設けておらず、公立大学でも違いはわずかだが、私立大学は学部系統により授業料に大きな格差があり、しかも多くの学部系統で値上がりしている。

目を引くのは医学部・歯学部の授業料が300万円に迫りつつあることであり、また理学部・工学部・薬学部・芸術学部では100万円を超えてさらに上昇傾向にある。

政府からの補助金が少なく、学生からの納付金に経営を依存せざるを得ない私立大学では、設備等に費用がかかり少人数指導を必要とするこれらの学部の授業料がきわめて高額になっており、それが家計への圧迫と、高等教育の分野別教育機会の不平等にもつながっている。

かつては私立大学は相対的に裕福な世帯の子どもの進学先と目されていたが、1990年代以降の大学進学率上昇はその大半がかつては大学に進学していなかった相対的に世帯収入の低い世帯からの私立大学への進学の増加により生じており、その結果、むしろ収入の少ない世帯出身の大学生の占める割合は国立大学に比べて私立大学の方が多いという状態が生じている。

◎家庭の年間収入別学生数の割合(大学学部・昼間部、単位:%)

家庭の年間収入別学生数の割合
(出所)日本学生支援機構「令和4年度 学生生活調査結果」(2024年3月)より大阪公立大学・川野英二教授作成

経済的に厳しい世帯から私立大学に進学するには、当然ながら奨学金等の経済的支援を利用することが必要になるが、日本で奨学金と呼ばれているものの大半は貸与制すなわちローンであり、大学生は多額の借金を抱えた形で社会に出なくてはならなくなっている。

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