爆上がりする「日本の大学の授業料」がもたらす2つの不幸、"少子化と不平等"の悪化で社会全体が衰退に向かう…悪しき大学政策の根底にあるもの

そもそも法人化前の国立大学は国の機関として、必要な費用については国が支える義務を負っていた。しかし法人化により国は費用を「出すことができる」という不安定な構造に転換された。
そして実際に国立大学運営費交付金はじわじわと縮減され、競争的な外部資金等の獲得に誘導する動きが20年間にわたって国立大学を締め上げてきたのである。
建物の修繕や実験器具にも事欠く状況が国立大学では続いている。ポストの削減や競争的資金の申請などに研究者の時間が奪われる事態が続き、研究成果の国際ランキングも凋落の一途にあることもすでに知られている。
加えてコロナ禍を経た2020年代にいたり、物価高や人件費高騰は国立大学をも直撃し、耐えかねたようにいくつかの大学が値上げの方針を示した。2024年にマスメディアへのリークにより明らかになった東京大学の値上げについては、学生や教職員による反対運動が猛然と行われたことにより注目を集めた。
反対の理由の1つは「東京大学が値上げすれば後に続く多数の国立大学が現れる」ということであった。しかし東京大学は、そうした声に耳を貸さず値上げに踏み切り、そして危惧は今現実となりつつある。
経済的困窮に苦しむ世帯が増える中で、国立大学が雪崩を打って学費値上げに進めば、先述の国立大学の使命をかなぐりすてることになり、経済面からの高等教育機会の制約は少子化と不平等という国家の存続にかかわる問題をいっそう悪化させることにつながる。
値上げの動きは留学生にも影響
値上げの動きは留学生についても及んでいる。2024年の文部科学省令改正により授業料の上限が撤廃されたことに基づき、東北大学が2027年度入学生から学部と修士課程の留学生の授業料を90万円に値上げすることを公表した。
2025年6月には博士課程学生の生活費を支援する「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」から留学生を排除するという方針を文部科学省が示した。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら