主要メディアは雑報扱いだが実は来年の政局を占うには超重要! 高市首相「先輩4人行脚」で見せた石破・岸田氏への"あまりに露骨な待遇差"の真意

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岸田氏は高市首相と政策論議を続ける中で、岸田氏が自らの政権で推進した「新しい資本主義」をめぐり、高市首相がこれまでの「新しい資本主義実現会議」を衣替えして、全閣僚で構成される「日本成長戦略本部」と民間委員による「日本成長戦略会議」を立ち上げたうえで、自民党に新たに発足させた「党日本成長戦略本部」の本部長に岸田氏を据えたことで、高市・岸田両氏の共闘関係が明確になった。

岸田元首相
さらにその1年前、「報道写真展」を訪れていた岸田元首相(撮影:尾形文繁)

そうした中で、石破・岸田両氏の周辺からは「2人とも秘かに『ポスト高市』での再登板を狙っている」との声も漏れてくる。ただ、自民党内では両氏について「そもそも、自ら政権を放り出した人物。今さら影響力を持とうと考えるのが間違い」(麻生派幹部)との声も少なくない。

4人の先輩首相との会談に透ける真意

そうした状況を踏まえてか、高市首相は政権発足から2カ月が経過した12月22日、岸田・石破両氏を含む自民党の現職議員で首相経験者の4氏に対し、それぞれ個別に「表敬訪問」。これまでの政権運営について報告したうえで、意見を拝聴するという「懐柔戦略」(官邸筋)を展開してみせた。

ここで政界関係者が注目したのは、先輩首相との「会談の順番」と「時間の長短」だ。「首相動静を基に調べると、高市首相の狙いも明らかになる」(自民党幹部)からである。

高市首相が最初に会ったのは岸田氏で、会談時間は15分間。次が菅義偉氏で10分間、それから数時間後に麻生氏と16分間、これに続く最後の石破氏は21分間と最も長い。

高市首相と先輩首相4氏はいずれも具体的な会談内容は明らかにしなかったため、各メディアの報道ぶりは、注目度の高さと反比例する“雑報”扱いとなった。だが、多くの政界関係者はこう読み解く。

「最初の岸田氏とは、今後の政権運営での連携強化を確認。次の菅氏は、同氏の日本維新の会との親密な関係を踏まえた、連立強化への協力要請。さらに麻生氏は今後の政権運営での助言を受け、最後の石破氏は一連の『高市批判』への牽制が狙い」(政治ジャーナリスト)

この高市首相の“懐柔作戦”は、なお続く高支持率を背景に、先輩首相の批判を封じ込めることで、自民党内の『高市支援』をさらに拡大するのが狙いであるのは間違いない。しかし、収まらない物価高騰などに対する国民の不安・不満は強まる一方。「年明けの通常国会が始まる時点で、世論が『高市支持』から『反高市』へと状況が一変している可能性も否定できない」(同)といった厳しい見方も少なくない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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