スマホ新法施行後のiPhoneを実際に使って見えた利点とリスク──外部アプリストア解禁や決済自由化で何が便利になり、何が不安になるのか

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たとえば、iPhoneで初めてブラウザを使う際に、選択肢としてSafari以外のブラウザが表示される。ChromeやEdgeならまだしも、楽天ウェブ検索や、Braveというような特殊なブラウザまで表示するから、高齢者の方など、テックに詳しくない人が特殊なブラウザを選択してしまうと、混乱してしまうのではないだろうか?

他のブラウザに変更したい人は、従来から選ぼうと思えば選べたのだから、同列に並べるのは悪手だと思う。

「まずは一安心」な状況ではあるが

おおむね変更点は以上で、EUのデジタル市場法のように、アップルが新機能の搭載を見送る……というようなセキュリティ上のリスクは発生しなさそう。まずはひと安心。

我々のように、多くの人に安全に、トラブルなくiPhoneを使ってほしい……と願っている人にとっては改悪だが、ヘビーゲーマーの方のように少しでも安くアプリ内課金のアイテムを買いたいとか、少しはグレーなゲームもオウンリスクで遊びたい……というような人には喜ばれる側面もあるかもしれない。

しかし、そのための選択肢としてはAndroidがあったのだから、『安全な場所』としてのiPhoneは残しておいてほしかったところだ。

電子書籍アプリなどで、手順はまだ面倒だとはいえ、外部リンクから決済できるようになったのは、我々にとってはメリットだろう。もしかしたら、他にもそういうメリットはあるかもしれない。

アップルによると、もともと87%の小規模~中規模のアプリの開発者は、手数料を支払う必要がなかったから、今回の手数料に関する変更の影響を受けない。大規模なデベロッパーでも今回の変更で手数料が上がるデベロッパーはいないと言う。

また、決済方法がApp Storeを迂回できるようになったこともあって、確実にアップルの収益は減ると思われる。それがどのぐらいの規模になるのかは、今後の情報を待つしかないが、少なからずダメージはあるだろう。

詐欺リンクをそのままにしているMetaやXはそのままなのに、アップルだけを狙い撃ったかのようなスマホ新法は政策としてのバランスに疑問が残る。しかし、ともあれ実際の運用の影響は限定的だったので、ひとまずは安心というところ。今後も目を離すことなく情勢を見守っていきたい。

村上 タクタ 編集者・ライター

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むらかみ たくた / Takuta Murakami

iPhone、iPadなどアップル製品を中心に扱うガジェット・テクノロジー系編集者・ライター。カリフォルニアでのWWDCやiPhone発表会には2016年頃から継参加。趣味の雑誌の編集者として、’92年から約30年で約600冊の雑誌を作ってきた。バイク雑誌『ライダースクラブ』に携わり、ラジコン飛行機雑誌『RCエアワールド』、海水魚とサンゴ飼育の雑誌『コーラルフィッシュ』、デジタルガジェットのメディア『flick!』『ThunderVolt』の編集長を務める。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー。バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、庭での野菜作り、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。娘はロンドン、息子は台湾在住。

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