スマホ新法施行後のiPhoneを実際に使って見えた利点とリスク──外部アプリストア解禁や決済自由化で何が便利になり、何が不安になるのか
また、決済手段についても、ご記憶の方も多いと思うがApp Storeができるまでは、ウェブからアプリを購入して「このサイトは詐欺ではないのだろうか?」と不安な思いをしながら、カード番号を入力していたものだが、少なくともアップルやGoogleのアプリストアなら詐欺はあるまい……と思って購入することができる。その状況を後退させるというのは、ユーザー視点では疑問が残る。
スマホ新法は、公取委の問題意識と運用を軸に設計されている。結果的にアップル、iTunes、Google(MAUが4000万人以上のサービス)だけが対象となる法律ができたわけだが、本当に必要な法律だったのだろうか?
EUのデジタル市場法(DMA)に追従して作られたのだが、あちらも米ビッグテックを制限するどころか、個人情報保護のために一部の新機能のローンチを取りやめる……というようなカタチで、ユーザーの権利を制限するようなルールになってしまっている。日本も新機能のローンチが制限されたりする事態になるのではないかと心配されたが、そうはならずに済みそうだ。
アップルがスマホ新法に対応するために変更したポイントは以下の通り。
実際に、代替アプリストアを使ってみた
一番大きな変更点は、App Storeではない代替アプリストアからアプリをダウロードできるようになったことだろう。
早速ローンチされた、AltStoreという代替ストアを使ってみた。
ストア自体は『特殊なタイプのアプリ』として、普通のアプリのようにiPhoneにアイコンで表示されるが、このストアはApp Storeからダウンロードされるのではなく、ウェブサイト上のリンクからダウンロードする仕組みになっている。
一応、この代替アプリストアはアップルが認証する方式になっているので、いきなり違法なアングラサイトが登場するというわけではない。代替アプリストアに登録されるアプリに対しては、アップルが『公証』という最低限の審査を行う。これはアプリが登録された通りの機能を持ち、既知のマルウェアやウィルスなどのセキュリティ上の脅威がないかどうかが確認されている。
ただし、内容やクオリティに関してはApp Storeほど厳しい審査はないので、App Storeにないタイプのアプリが登場する可能性はある。たとえば、既存のアプリと同機能のアプリや、新規性が乏しいアプリはApp Storeではガイドライン上審査を通りにくいが、そういうアプリも代替ストアなら販売できる可能性がある。特定業界用の業務アプリのようなニッチ過ぎるアプリや、完成度の低いアプリも販売されるかもしれない。また、成人向けコンテンツを含むアプリのようなApp Storeでは販売が難しいジャンルのアプリも販売される可能性がある。


















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