"ジブリ風"など…AI隆盛で「アニメ業界」に生じる混乱 絵だけでなく、声やグッズの権利をどう守っていくのか
アニメに欠かせない音声、特に声をめぐっても、現在日本国内外でさまざまな混乱が生じています。国内で特に問題視されているのは、声優の声を無断で使用した生成AI製の朗読や歌がネットで公開され、全く関係のない第三者によって販売までされてしまっていることです。
また海外では25年12月、アメリカAmazonのプライムビデオで、「BANANA FISH」をはじめとするアニメのAI製英語音声版が配信されたことが大きな反発を生みました。質の悪いAI音声への不満に加え、英語圏の声優からは「修正しなければ今後Amazonと仕事は行わない」と声の仕事への敬意のなさに怒りをあらわにする声も上がっています。
こうした混乱が続く中で、日本ではAI製の脚本を用いた声優の朗読劇が批判を受けて中止になる出来事もありました。一見AIに対する過剰な反応にも思えますが、好きな作品や応援する人の声が無断学習され続けている中で、扱う人でさえデータの潔白さや懸念点を把握しきれているのかわからない技術に対して不安を感じてしまうファンの心情もわからないではありません。
アニメ業界ではAIが本格的に普及し始めた2年ほど前から、こうした混乱がたびたび生じてきました。そうした中では、AI技術そのものやそれらがもたらしうる恩恵は理解されつつも、アニメに対しAIが悪用されることへの懸念の方が、今は勝り気味となってしまっている印象です。
AI技術そのものを排斥したいわけではない
ただし、そうした生成AIによる混乱を問題視するファンやクリエイターの多くは「AIの悪用」に反対しているのであり、AI技術そのものを全否定・排斥しようとしているわけではありません。
むしろ、現在のアニメ業界ではAIによる混乱を受け、問題をどう解決し、どのようにAIを活用していけるのかといった建設的な議論や取り組みも積極的に行われています。
近年こうした動きが特に活発化しているのが声優業界です。無断生成AIにまつわる問題の周知として「NOMORE無断生成AI」の動画を公開すると同時に、「声の権利を守りながらAIをどう活用していけるのか」についても、大手声優事務所がAI企業と正式にパートナーシップを結んで模索し続けています。


















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