「救急車を呼ばなかったばかりに」…。"初動の遅れ"で介護が一気に重くなるリアル。 年末年始、帰省時に確認するといい「当たり前のこと」

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父親が夜8時をまわったころ、お風呂から出たあとベッドに倒れ込みました。その様子を見て、母親は救急車を呼ぼうとしたのですが、父親が「もう楽になったから……」と強く制止したため、通報をやめました。母親の目にも、一時的なめまいに見えたようです。

翌朝、いつも通り母親は7時に起床。8時になっても父親が起きてこないため、様子を見に行くと、父親は、全く身体を動かすことができません。言葉も出ません。この段階で母親は慌てて救急車を呼び、父親は搬送されました。

診断の結果は「脳卒中」でした。最初の発作から12時間以上経過しており、重篤化。脳血管疾患の治療は時間との戦いなのです。

現在、父親はほぼ寝たきりの状態で、母親が在宅で介護を行っていますが、孝一さんも月に1~2度、帰省しています。

「あのとき、すぐに救急車を呼んでいたら、結果は違ったのではないか。せめて僕に知らせてくれていたら、救急車を呼ぶように指示したのだが……」と孝一さんは当時を振り返り、悔しがります。

母親は、父親が寝たきりになったことに責任を感じており、「施設に入れるのはかわいそう。私が最期まで介護する」と頑なです。孝一さんは母親まで倒れるのではないかと心配しています。

救急車は「恥ずかしい」と考える親も

介護が必要となった主な原因について、要介護度別にみると、「要介護者」では「認知症」が23.6%で最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が19.0%となっています。ただし、寝たきりの方が多い要介護4、5では、「脳血管疾患(脳卒中)」が最も高い割合です。

介護が必要となった主な原因
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