鉄道復権の象徴「夜行列車」欧州で廃止相次ぐ実情 一方で「新規参入」も活発、明暗を分けるのは何か

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では、ヨーロッパではこのまま夜行列車ブームが下火となり、再び斜陽の時代となってしまうのかといえば、単純にそうとは言えなさそうだ。

前述の通り、旧国鉄系の鉄道会社が撤退を決めたルートを民間企業が引き継ぐケースは多く、本数は大きく減っていない。それどころか、列車自体はどれも利用率が高く、大赤字といった状況でもない。つまり、需要は定着しており、運行に名乗りを上げる会社も存在し続けているのだ。

クシェット
相部屋だが低価格で利用できるクシェットは人気だ(撮影:橋爪智之)

「補助金ありき」脱した先に成長余地

この先2~3年の間には、アムステルダム/ブリュッセル―チューリッヒ/ミラノ/バルセロナ間や、プラハ―ヴェネツィア間など、いくつもの野心的な夜行列車運行計画が公表されている。

新規参入の動きも引き続き存在し、イタリアの「アレナウェイズ」やチェコの「レオ・エクスプレス」のように、新たに夜行列車運行事業へ進出を計画している会社もある。

新型ナイトジェット
オーストリア鉄道の新型「ナイトジェット」。中古車が枯渇する中、新型車導入を検討する会社も多い(撮影:橋爪智之)
【写真をもっと見る】廃止も相次ぐものの新路線開設も続く欧州の夜行列車。懐かしさを感じる寝台車からカプセルホテルのような新型車両まで、各国を走る寝台・夜行列車の姿

運行に不可欠な中古車両の市場も動きは活発だ。これまで主力だったドイツ鉄道の中古車両が徐々に枯渇する中、座席車から寝台車への改造や、新造車両の導入を計画している会社もある。前出のスネルトーゲットCEO、ホルムバーグ氏の言葉通り、補助金ありきではない運営を行うことを前提とすれば、ヨーロッパにおける夜行列車の成長はまだまだ見込めるだろう。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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