議員定数削減で「維新の論理」に屈した自民党がたどる難路、高市首相を悩ませる新連立の"不協和音"
高市首相は後に「(『そんなことよりも』と言ったのは)優先度合を示す趣旨ではない」と弁明したが、同日午前に高市首相の後見人である麻生太郎元首相と維新の国対委員長でもある遠藤敬首相補佐官が国会内で会談。麻生氏は定数削減について前向きな発言をしたと報じられている。よって高市首相の頭の中には、連立のパートナーである維新への「気遣い」があったはずだ。
かつての自公関係は、与党である立場と選挙協力で結ばれていた。公明党は最初は総務庁長官、そして厚生労働相や環境相、最後に国土交通相のポストを取った。衆院選では多くの小選挙区で自民党候補を応援し、その代わりに「比例は公明へ」を呼びかけさせた。
こうした「すみ分け・共存」により、自公連立は民主党政権時代を除いて20年以上続いた。だが同じような「すみ分け・共存」が維新とできるのか。そもそも維新は、閣内に大臣を送り込んでいない。
多党時代に求められる党利党略ではない信念
維新の藤田文武共同代表は12月4日、参政党の神谷宗幣代表と会談し、衆議院の定数削減案について協力を求めた。参政党は参議院で15議席を有しており、過半数に6議席足りない与党を補うことができる。しかも神谷氏は大阪維新の会の結党にも誘われたことがあり、藤田氏らと旧知の関係にある。
会談後に神谷氏は、「身を切る改革ではなく、民意を反映させる選挙制度にしたうえで定数を削減するのであれば、協力できるということをお答えした」と述べ、「スパイ防止法」や「日本国国章損壊罪」の創設など条件を付けたことを明かした。多党時代にあって、少数政党の発言力が強まっているということだ。
これに対して立憲民主党の野田代表は「まったく違う立法と絡めるのは、党利党略すぎる」と維新と参政党を厳しく批判。3日に中選挙区連記制の独自案を出した国民民主党の玉木雄一郎代表も、「まずは与党で選挙制度の具体案を出すべき」と主張するとともに、公明党と考案した「企業団体献金の規制強化」を優先すべきと強調した。
今臨時国会の会期末は12月17日だが、それまでに超大型補正予算案に加えて、こうした問題についても十分な審議が尽くされるのか。多党下の政治にあっては、少数政党の意見がどうしても目立ちがちだが、党のアピールに終わることなく、国民のための制度設計になることに期待したい。
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