大学の入学金「辞退しても返還されない」のは不条理か?文科省も"学生の負担軽減"でプレッシャー…背景に補助金の国私格差など構造的な課題も

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愛知県などでは多くの私立大学が、地域最難関の私立大学の合格発表日以降に入学手続き締切日を設定しているぐらいです。ただし、これは私立大学間の併願についての話です。

とくに今回の通知では触れられてはいませんが、当然、国公立大学に合格して私立大学を辞退する場合も対象になると考えられます。実はこの影響はかなり大きいものがあります。

私立大学は一般選抜合格者の8割以上が流出

一般選抜の合格者のうちどれぐらいの人が実際に入学したのかという入学率(一般選抜の入学者数÷合格者数、歩留まり率とも言われます)を、文科省が公表している「入学者選抜実施状況」で国公私立大学別にみてみると、明らかに私立大学の入学率が低くなっています。

さらに経年で見るとその率はさらに下降し続けています。現時点で公表されている最新の数字(24年度入試)では、20%を割り込んでいます。つまり、私立大学の一般選抜は合格者の8割以上が入学しないで他大学に流れていることになります。

入学手続き率の推移

もちろんこれは全体の数字ですので、各個別の私立大学によって歩留まり率は異なりますが、こうした環境下で入学定員を下回らないように、かつ大幅に上回らないように合格者数を決めることは、私立大学にとって非常に難易度の高い業務の1つとなっています。

この合格者数を決める際、入学手続者の動向が先行指標の役割を果たしていることもあります。先に行われた入試の入学手続者の増減によって、その年の受験生の動向を推測して、その後に行われる入試の合格発表者の増減を調整するなどの方法を取っている大学もあります。

ただ、この入学金返還問題に対して、私立大学の反応が消極的なのはそれだけではありません。非常に言いにくいことですが、入学辞退者からいただく入学金は私立大学にとって大切な収入となっています。

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