大学の入学金「辞退しても返還されない」のは不条理か?文科省も"学生の負担軽減"でプレッシャー…背景に補助金の国私格差など構造的な課題も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

筆者がかつて塾のチューターをしていた時、担当クラスの生徒で3回も入学金を支払った生徒がいました。

その生徒は既卒生でしたので、多浪となることを避けるため、中堅私大が年内に実施する奨学生入試を受験しました。結果は奨学生ではありませんでしたが、一般合格となりました。まずここで入学の権利を確保するために、1回目の入学手続きを行いました。

その後、難関私大に合格したため、喜んで2回目の入学手続きを行いました。通常ですとこれで終わるのですが、その生徒は優秀だったため、受験していた国公立大学にも合格しました。

最終的には、理系の生徒だったこともあり、大学院進学も視野に国公立大学に進学しましたが、その生徒が「いったい、何回入学金を払えばよいのですか」と恨めしそうに言っていたのが忘れられません。

生徒には、「掛け捨ての保険だと思うしかない」という話をした記憶がありますが、自分が支払う立場だったら、何とかならないかと思ったことでしょう。ただ、当時はそれが大学受験の常識でした。

かつては意図的な入試日程も…近年はかなり改善

私立大学から見れば、入学金を納入して入学の意思を示された時から、入学者として迎えるための準備は始まっていますので、そのための費用とも考えられていると思います。

入学準備のための手数料として入学金相当の金額が妥当なのかは別にして、2006年の最高裁判決でも返還義務なしとされていることから、入学辞退者に入学金を返還しないことが慣例となってきました。

そのため、進学指導の現場では、受験スケジュールを組む時には、無駄な入学金を支払わなくてもよいよう、カレンダーに合格発表日や入学手続き締切日を書き込んで日程調整するなどの対策をしてきました。

かつては、最難関の私立大学の合格発表日の前日を入学手続き締切日に設定する私立大学もあり、意図的と言えば意図的、露骨と言えば露骨な入試日程が設定され、受験生を悩ませていました。

ただ、近年ではこの点はかなり改善されています。多くの私立大学が合格発表後の入学手続き締切日を2月後半から3月上旬に設定していますので、難関私立大学の合格発表の結果を見てから入学手続きをすればよいという受験生フレンドリーな対応の私立大学が増えています。

次ページ私立大学は一般選抜合格者の8割以上が流出
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事