「赤字幅3倍に拡大」でもテスラが強気な理由 イーロン・マスクが会見で伝えたかったこと
テスラによると、全世界でモデルSの注文は前年同期比で50%以上アップしたという。7〜9月期の赤字は2億2990万ドル(1株当たり1.78ドル)で、前年同期(7470万ドル、1株当たり60セント)よりも大幅に拡大した。売上高は10%伸びて9億3680万ドルとなった。
ライドシェア市場への参入はまだ検討中
モデルXの出荷が遅れたのは、複雑なデザインを選んだためだ。たとえば、後部座席のドアがウイングのように上下に開閉するため、技術的な微調整がかなり必要となった。さまざまな形に変えられる後部座席も生産を遅らせた。
後部座席の問題については、サプライヤーとの溝が埋まらなかったため、テスラが自社生産を開始したという。「これにより第4四半期(10〜12月期)の生産計画には不透明な要素が加わったが、顧客のためには質を重視するべきだと考えた」と、テスラは声明を出している。
テスラとしては、来年にはモデルSとモデルXの生産台数を、合わせて週1600〜1800台としたい考えだ。
電話会談では、テスラは自動運転車によってライドシェア(相乗り)市場に参入するつもりなのかという質問が出たが、マスクは今回もコメントを拒否した。長期的な戦略に関する質問で「あなたが言いよどむのは初めだ」と指摘されると、マスクは言い返した。「(新規事業の)発表には正しいタイミングというものがある。今はそうではないし、現時点では私たちの戦略はまだ完全に固まっていない。すべてが明確になった時点で発表したい」。
テスラのクルマには、高速道路で運転や車線変更を自動化するオートパイロット機能が導入されたが、現時点の評判はまちまちだ。オートパイロットがうまく機能しない様子を収めたビデオを公開したユーザーもいる。
これについては、「ユーザーがこの機能でクレイジーなことを試す可能性を最小限に抑える」ため、オートパイロット機能を作動させるタイミングに「追加的な制約」を加える予定だと、マスクは語った。また、オートパイロット機能はあくまで「ベータ版」であり、これまでもその旨を明らかにしてきたとして、今後徐々に改良されていくと断言した。
同時にマスクは、20年以内に自動車市場は自動運転機能を持つクルマだけになるとの確信を改めて示した。「自動運転機能が付いていないクルマは、マイナスの評価を得るようになる」と、マスクは語った。
「そんなクルマは馬と同じで、センチメンタルな理由から所有するに過ぎない」
(執筆:JAD MOUAWAD記者、翻訳:藤原朝子)
(c) 2015 New York Times News Service
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら