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高市氏の「本音はリフレ」を市場が見透かし円安進行、国民の暮らし向き悪化をアメリカに憂慮される不格好、株高で高支持率でも選挙がいずれ牙をむく

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なお、10月末に来日したベッセント米財務長官はアベノミクスについて「単なるリフレ政策ではなく、インフレ懸念とのバランスを取る政策へと変容すべき」という明確な意思表示を行い注目された。

円安インフレによる実質所得環境の悪化を念頭にベッセント財務長官から通貨・金融政策に対して助言を受けたような構図でもあり、日本政府として拡張財政と金融緩和を野放図に放置するのも難しそうな機運はある。

「アメリカに言われたからやる」というのは何とも不格好だが、円安により国民の暮らし向きが悪くなり、これをアメリカから憂慮されるような状況は「利上げが反発を買わない世相」とも読み替えられる。

高市政権の「本音」がリフレ思想に染まっているとしても、「建前」としての1~2回の利上げであれば受け入れやすい状況にはあるように見える。1月までに1回、7月までに2回目というイメージであれば、1.0%までの政策金利引き上げが視野に入る。

「責任ある」という枕詞は「リフレ期待暴走」に無力

一方、政権の「本音」が連続利上げの回避にありそうなことも市場は理解している。1月までに0.25%の利上げが8割織り込まれている状況でもドル/円相場が高止まりしているのがその証左である。

11月10日に公表された10月29〜30日会合の「主な意見」でも「利上げをおこなうべきタイミングが近づいている」と半ば利上げ宣言と取れる記述が見られているものの、ドル/円相場はむしろ円安へ振れた。

金融市場が注目しているのは「次の利上げ時期」ではなく、あくまで高市首相のリフレ姿勢の確度である。

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