すべての人が「加齢」とともに、漏れなく「死」に向かいます。私たちは年間300件近くのお看取りをしていますが、人は病気を「治す」ことや「長生き」すること以上に、今ある人生をどのように「生きる」かが大事なのだ、と常々感じさせられます。
人が生きるために大事なのは、苦しくないこと、自分らしくいられることだと私は思っています。ちゃんとした在宅診療の医師や訪問看護、介護的なサポートが連携すれば、「ゴールデンタイム」をしっかりとつくることができます。
「自分らしく生きる」時間
痛みや苦しさの状態に応じて、麻薬やステロイドを用いることで驚くほど苦しみが取れます。1日に数回だけ大きな痛みや苦しみが来る場合には、頓服の麻薬を柔軟に使うと、その人らしさと普段の生活を取り戻せます。
炎症反応が強くなって、倦怠感や食欲低下が出たときに適量のステロイドを投与すると、だるさも取れて明らかに食欲が回復します。
動いた後の息苦しさも、麻薬やステロイドで回復するとともに、補助として在宅での酸素投与を行うことで、体が楽になります。
医師の判断だけでなく、その苦しさの変化に対して訪問看護をはじめ、介護職やご家族がこまめに確認して薬や環境の調整をすることで、その人らしい「ゴールデンタイム」はつくれます。
看取り間近の「ゴールデンタイム」に、やってはいけないことなどありません。
車いすや介護タクシーを使って外出したり、近くの公園で花見をしたり、ご家族そろって笑顔で記念撮影をするなど、しっかりと「自分らしく生きる」時間を作ってください。
それは本人のためだけではなく、残されたご家族のためにもなるのです。
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