在宅医が教える「人が亡くなる"直前"に起こること」。看取りのために知っておきたい眠り・老衰・救急車・ゴールデンタイムの4つの知識

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すべての人が「加齢」とともに、漏れなく「死」に向かいます。私たちは年間300件近くのお看取りをしていますが、人は病気を「治す」ことや「長生き」すること以上に、今ある人生をどのように「生きる」かが大事なのだ、と常々感じさせられます。

人が生きるために大事なのは、苦しくないこと、自分らしくいられることだと私は思っています。ちゃんとした在宅診療の医師や訪問看護、介護的なサポートが連携すれば、「ゴールデンタイム」をしっかりとつくることができます。

「自分らしく生きる」時間

痛みや苦しさの状態に応じて、麻薬やステロイドを用いることで驚くほど苦しみが取れます。1日に数回だけ大きな痛みや苦しみが来る場合には、頓服の麻薬を柔軟に使うと、その人らしさと普段の生活を取り戻せます。

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炎症反応が強くなって、倦怠感や食欲低下が出たときに適量のステロイドを投与すると、だるさも取れて明らかに食欲が回復します。

動いた後の息苦しさも、麻薬やステロイドで回復するとともに、補助として在宅での酸素投与を行うことで、体が楽になります。

医師の判断だけでなく、その苦しさの変化に対して訪問看護をはじめ、介護職やご家族がこまめに確認して薬や環境の調整をすることで、その人らしい「ゴールデンタイム」はつくれます。

看取り間近の「ゴールデンタイム」に、やってはいけないことなどありません。

車いすや介護タクシーを使って外出したり、近くの公園で花見をしたり、ご家族そろって笑顔で記念撮影をするなど、しっかりと「自分らしく生きる」時間を作ってください。

それは本人のためだけではなく、残されたご家族のためにもなるのです。

山中 光茂 しろひげ在宅診療所院長

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やまなか みつしげ / Mitsushige Yamanaka

1976年三重県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。外務一種公務員試験に合格するも外務省に入らず、途上国医療に関わりたいという思いから群馬大学医学部に入学。学生時代、学費を稼ぐために新宿・歌舞伎町で名物スカウトとして活躍。医学部卒業後、ケニアの離島で医師としてエイズ対策プロジェクトの立ち上げに携わる。「NPO法人少年ケニアの友」の医療担当専門員。三重県松阪市長を2期務め、現在は東京江戸川区のしろひげ在宅診療所において、院長として「在宅医療」の普及に尽力。著書に『しろひげ在宅診療所』(角川春樹事務所)、『余命わずかの幸せ』(青灯社)などがある。

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