小さな港を一望する高台の宿umieruはもともとの姿が想像できないほど今風の改修がされており、これまで人の来なかった地域に来訪者を呼ぶ拠点になっている。
一方で宿は現在は施設居住の高齢所有者が時に帰宅できる場にもなっている。老朽化した我が家が再生された姿は本人にも周囲の人にも驚きを持って迎えられたことだろう。
改修は所有者、宿泊者、地域、設計者の四方良しを実現したわけで、廃墟の利用が地域にさまざまなハッピーをもたらした。改修された建物にとっても幸せなことだろう。
“難あり空き家”のマッチングサイト
大垣さんが手がけたリノベーションの成功は、田中さんが「この場所でシェアハウスが成り立つなら空き家はどこででも使える」という考えを裏付ける結果になったわけだが、その前段となる空き家の流通にはまだまだハードルがある。
「香川県、鳥取県を除く日本のほぼすべての道府県で空き家を救ってきた経験からすると、どんな物件でも買う人はいます。でも、問題は情報。たとえば私は神奈川県の事業者なので今回のように京都府の物件を委託されても京都の空き家バンクに掲載することができませんし、廃屋も掲載できません。
また、変な人に来て欲しくないという意識からか空き家バンクの価格設定は意外に高い。一般のポータルサイトはゼロ円物件は掲載できませんし、1円物件には逆に問合せが集中する。そうした現状を打破したいと新しいマッチングサイトを始めることにしました」
それが経済産業省の「グレーゾーン解消制度」を活用、国土交通省、消費者庁とも協議を重ね、不動産所有者自身が1軒だけ、1度だけ処分したい空き家を掲載できることにしたマッチングサイト「不動産ポスト」だ。
不動産会社が取り扱ってくれない農地・山林・建替えできない戸建て等困った不動産でも掲載可能で、流通が難しい不動産については所有者が買い主、受贈者に謝礼金を支払うなどの記載も可能。謝礼を払って売れない物件を引き取ってもらうことができるのだ。
物件の登録は消費者契約上の消費者、つまり個人に限って可能で法人は不可。売買・贈与物件の掲載は0~50万円まで、賃貸物件の場合は0~3万円までで、売り主、買い主ともに年間1万1000円で会員になる必要がある。
「9月にスタートしたばかりでまだまだ物件数はありませんが、今後、売り主と買い主の顔が見えるサイトになっていけばと考えています」(田中さん)
宅建業法下で運用されているわけではないので、田中さんは契約には一切関わらない。サイトを運営するだけで契約は当事者で決めることになっているのだ。利用者の少ない現状ではサイト運営は持ち出しになっているはずで、利用者が増えたところで儲かるような話ではない。だが、こうした人がいることでほんの少しずつでも空き家は動いている。
ちなみに益実荘は5年間の無償の使用貸借契約を経て、大垣さんの会社に売却された。これからも京丹後に住みたい人を安価に受け入れ続ける予定なので京丹後に興味のある方は一度ぜひ。人の優しいところだそうである。
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