シェアハウス成功の影響などもあるのだろう、地域では移住者のためだけでなく、我が家を新築するのではなく、親の家などをリノベーションして住む人達も増えている。
「2016年に独立した当初は新築を手がけることが多かったのですが、2019年に築100年近い住宅の一部を地域に開かれた図書室・ねぎぼうず文庫に改修。自分たちのデザインを新築で主張するより、使う人が幸せになれる建築をやりたいとリノベーションの可能性に目覚めました。
特に最近は資材が高騰しているので、相談に来た人には、新築と同額で広くて質の高い家が手に入るから、とリノベーションを勧めています。いずれ空き家にするより使い続けましょうという提案です」(大垣さん)
立派な建物がたくさん、旧機織り場が人気
その背景のひとつに地域の既存建物の質の高さがある。
京丹後は丹後ちりめんで栄えた地域で、昭和40年代ごろ全盛期を迎えるが、その後は急速に縮小。現在も主要な産業のひとつではあるが、後継者不足などで先行きが懸念される。
だが、地域にはその当時に建てられた良質な建物が多く残されており、道沿いに歴史を感じさせる建物が続く場所もある。養蚕、機織りのために天井を高く取った建物も多く、梁を見上げると今では手に入らないような木材が使われている。瓦、杉板、土壁を使ったしっかりした建物が今も現役なのである。
特に住宅の一部にかつての機織り場だった、天井の高いスペースが附属する建物はモノづくりをする移住者に人気。
取材では京都で南座の提灯なども手がける10代続く老舗提灯店の10代目が移住してきた工房・小嶋庵にお邪魔させていただいたのだが、大きな提灯を吊るしても余裕の天井高は圧巻。この工房には地域の人達が働きに来ているそうで、移住は地元に仕事も生んだ。
それ以外に見せて頂いた朽廃状態から再生された店舗、宿泊施設もしっかりした作りが印象的。首都圏で近年リノベーションの素材となる建物にはここまでのモノは少ない。素材が良いと豊かな空間が作れるのである。
住宅だけでなく、建具なども良質なものが残されているため、焼き鳥店「tensen」ではそれらをインテリアに使い、他に無い空間になっていた。


















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