「大きすぎて売れない」元工場や問屋の建物…。"お荷物"だった廃墟が地域の希望に変わるとき。《質が良くて・しっかり》地方の空き家を再生

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大垣さん
大垣さん。起業後60軒ほどの物件を手がけたそうだが、そのうち、半数ほどは空き家を利用したリノベーション。地域密着で仕事をしている(写真:U設計室提供)

「以前からやりたかったのですが、田中さんから無償で借りられたこと、コロナ禍で融資が受けられたことで決断しました。解体から始まり、壁の珪藻土塗り、外壁塗装などを地域の人や移住希望者にも手伝ってもらってDIYワークショップを開いたんです。そうやって家具、家電、布団その他も一式揃う、1カ月から住めるシェアハウスに改修しました」と大垣さん。

DIYの様子
かなり大胆に解体。作り直すことに。特に1階は天井が4~5mと高く、壊すのも、壁を塗るのも大変だったとか(写真:U設計室提供)
ワークショップ
ワークショップには家族揃っての参加も。多くの人に関わってもらうことでリノベーションへの認知度を高めたいという意図(写真:U設計室提供)

ワークショップ後の見学会には20組ほどが参加。その中から2人の入居者も決まった。

建物をタダで借りられたため、初期費用無し、10畳1部屋を家賃3万8000円で安く貸すことができ、シェアハウス益実荘は多くの移住希望者を受け入れることになった。5年間で平均居住期間は3カ月、居住者の7割ほどは実際に移住してきたという。

現在の益実荘
現在の益実荘。居室は5室あり、全室に移住希望者が居住している。1カ月から暮らせるようになっており、移住へのハードルを下げる存在になっている(写真:筆者撮影)
共用スペース
玄関を入ったところの共用スペース。天井の高さを生かした快適な空間。家具、家電はもちろん、布団なども揃っている(写真:筆者撮影)

京丹後市では昨年5月に令和5年度の移住者が57世帯106人、3年連続過去最高を更新したというプレスリリースを出しているが、大垣さんたちが作ったシェアハウスはそこにも貢献しているのである。

空き家の活用が次々と

益実荘だけでない。この事例に学び、市内網野町島津地区では地元自治会をベースに大垣さんも参加して会社を設立。元機織り工場という空き物件を月額1万円、20年契約で借りて移住者のためのシェアハウスを作った。

出資者全員で1500万円ほどお金を出し合って1階にファミリー向け住戸1戸、2階に単身者向け4部屋と改修した。

元織物工場
地域で作ったシェアハウスは元織物工場。写真は1階だが、もともとはこんな状態で放置されていたものを改装した(写真:筆者撮影)
シェアハウスのリビング
2階、シェアハウスのリビング。4部屋あり、こちらも満室状態。もう1部屋ファミリー向けの部屋も用意した(写真:筆者撮影)

「居住希望者は多く、出資分は10年ほどで回収できそう。といっても儲けるつもりで作ったわけではなく、地域に移住者に来て欲しいから。

京丹後は京都から遠く、冬は寒く、雨も多いなど気候も厳しい。通勤は難しく、生半可な気持ちでは移住もできない。そうした状況下で、でもこの土地を選んでくれる人の1歩目を踏み出しやすくしたいと思っています」(大垣さん)

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