東芝、異例の土曜決算発表で6年ぶり上期赤字 約束していた通期予想を出せない失態

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東芝が米IBMから買収したPOS事業は裏目に出た

ディスクリートやシステムLSIなど、従来から赤字を計上していた事業の悪化に加え、柱である、NAND型フラッシュメモリでも減益となった。メモリの売上高利益率は、2014年3月期に30%、2015年3月期も20%台後半を維持していた。

ところが、今第1四半期には20%、第2四半期には10%台半ばと、大幅に下落し、利益の確保が徐々に難しくなってきている。平田上席常務も、「当社の収益に大きな影響を与える、メモリの価格が暴れている」と懸念を示す。下期についても、「利益率の改善は厳しいのではないか、というのが一般的な考え方だと思う」と厳しい状況が続くことを示唆した。ここ数年、他部門の不調をメモリの1本足で支えていたが、じわりと柱を揺らがす事態が迫っている。

加えて、家庭電器部門の悪化もきつかった。不適切会計発覚前から「聖域なき構造改革」を掲げており、PCでは個人用を縮小。テレビも北米や欧州において、ブランド供与に切り替えて、事実上の撤退を行ってきた。それでも今上期だけで、425億円の赤字を計上。構造改革の効果が出ているとは言えず、厳しい状況が続く。

構造改革等を理由に通期予想できず

9月14日に行った第1四半期の決算会見で、室町正志社長は、「上期決算で、2016年3月期の業績予想ができる状況にしたい」と説明。上期決算発表と同時に、通期予想が提示されると見られていた。だが、課題事業の構造改革について検討中であることや、メモリが不透明な状況にあることを理由に挙げ、今期も残り5カ月を切ったいうところに来ても、結局、開示されなかった。

10月から本格的に新体制が発足し、再生に向けてようやくスタートを切ったように見えた東芝。しかし、通期の見通しや赤字事業の構造改革については具体的に示すことができない。再生への道のりは険しい。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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