最高益のトヨタと日産、来期はどうなる? グローバルでは、販売状況はまだら模様

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だが、年間の世界販売計画は期初計画に比べて、5万台減の550万台と下方修正。日系メーカーで首位を維持する中国では、今年7~8月に前年実績を下回った。9月に持ち直し、10月は前年同月比で16.8%増と勢いを取り戻しつつあるが、景気減速で在庫を抱えた欧米メーカーによる大幅値引きの影響で、「(販売単価が)そうとう下がっている」(関潤専務執行役員)のも、悩みの種だ。

ホンダの八郷隆弘社長(撮影:風間仁一郎)

ホンダは通期純利益予想5250億円(前期比3.1%増)を据え置いた。タカタ製エアバッグ部品のリコール(回収・無償修理)など、品質関連費用を450億円積み増したことが足を引っ張ったが、これがなければ上方修正をした可能性が高い。

稼ぎ頭の北米では、下期に「シビック」などで新車攻勢をかけ、年間で過去最高の130万台を目指す。

利上げなら北米市場も減速か

中国では新型SUV(スポーツ多目的車)が牽引。岩村哲夫副社長は「いいペースで販売が進んでいる」と、過去最高の年間95万台(前年比25%増)の目標達成に自信を示す。通期では中国販売が日本を初めて上回る公算だ。ただ、貢献度は、北米が大きい。

一方、北米に頼ることなく業績を伸ばすのは、スズキだ。鈴木俊宏社長は「インドがあってよかった」と安堵の表情を浮かべた。国内の販売台数は主力の軽自動車の増税などもあって約17%も急減。シェア4割を握るインドの伸びに支えられ、2期ぶりに最高益を更新する。

とはいえ、スズキのような例は、特殊といえるだろう。米国で利上げとなれば、来期以降、絶好調の北米市場も自動車ローン販売でマイナスの影響を受ける可能性があり、足元では円安基調も一服している。各自動車メーカーが一段の増益を達成するのは壁がかなり高そうだ。

「週刊東洋経済」2015年11月14日号<9日発売>「核心リポート02」を転載)

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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