大ピンチ「紀州鉄道」2026年中に廃線の可能性も 中国系企業に買収され方針変更、値上げもできず
ほかにも大きなハードルがある。
「親会社が廃止の意向を示しているので、自治体に話をしても援助が得られないというのが現状です。現在この鉄道を存続支援していただける企業を探しているのですが、人口2万1000人の町の中を走る鉄道路線の運営を受け継いでくれるところは簡単には見つからず……」
最近は、経営がピンチの民間鉄道会社がクラウドファンディングを行うことがあるが、地元からの援助を得るためには、そういった一時的な資金の調達ではなく継続的な収入の確保か、長期にわたって経営に携わることを約束してくれる企業を探す必要がある。
「親会社から『運営を引き継ぐ会社が見つかれば鉄道事業は良い条件で譲渡する』と言われて、いろいろ動いているのですが、新しい会社が運営するとなると社名の変更といった作業や、国土交通省への申請などいろいろ手間やお金がかかる。その上、毎年赤字を計上する事業なので、引き継いでくれる企業が見つからず、親会社も『これ以上は待てない』という感じになってしまい、10月20日に東京の本社で話し合いをすることになりました」
本社での話し合いの後、再びお話を聞く約束をして、この日の取材は終了した。
結局どうなった?
その後、取材日程調整のメールのやり取りの際に大串部長に状況を聞くも
「親会社が新たな事業者に事業譲渡金を出してくれたら、企業や鉄道好きな経営者が興味を示してくれると思うのですが……」
「廃線濃厚な状況です」
といった状況で、前向きなメッセージは返ってこなかった。
10月21日、都内で再会。待ち合わせた喫茶店に到着した大串部長は、注文したアイスミルクティーを一口飲むと、落ち着いた口調で言葉を発した。
「とりあえず、最悪の事態は回避できましたわ」
こちらもホットコーヒーを一口飲んで、大串部長の次の言葉を待つ。


















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