大ピンチ「紀州鉄道」2026年中に廃線の可能性も 中国系企業に買収され方針変更、値上げもできず

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運行区間はわずか2.7km。トンネルも列車がすれ違う設備もない鉄道路線のため、巨額の赤字にはならない。「紀州鉄道」と名乗って不動産事業が展開できることは、鉄道事業の赤字額以上にメリットがある。そんな事情もあって2000年以降、各地でローカル私鉄が路線を続々廃止される中、紀州鉄道は生き残ってきた。

紀州鉄道の鉄道事業部門と不動産事業部門の関係は鉄道ファンの間では有名な話で両者はウインウインの関係にあると思われてきた。では、一昔前のプロ野球の球団と親会社のように、親会社が赤字を補填してくれる関係だった両者に何が起こったのか。紀州鉄道の鉄道部門である、鉄道事業部の担当者に話を聞くため、10月9日、和歌山県御坊市へ向かった。

3年前に中国の会社が買収

紀州鉄道の走る御坊市の玄関口、JR紀勢本線の御坊駅は大阪から特急くろしお号でおよそ1時間40分。この駅はすべての特急列車が停車する沿線の主要駅だ。

そんな駅の1番ホームの一角に作られた0番ホームから発着するのが紀州鉄道。全線2.7kmの路線は、その短さもインパクトがあるが、運賃も全線乗車しても180円。廃止の危機に瀕する路線であれば、運賃が倍になってもおかしくないのだが……。

鉄道事業部のある紀伊御坊駅で大串部長と挨拶した。名前を記事に出すのは勘弁してほしいそうだ。ソファーのある部屋に通され、最初に出てきたのがこんな言葉だった。

「約3年前の2022年12月に中国の不動産やリゾート開発をする会社が紀州鉄道を買収して、状況がカラッと変わりました。新しい親会社は、不採算部門である鉄道事業を廃止にしたいと」

この記事を配信する「東洋経済オンラインは経済主体のWEBニュースであり、ここから紀州鉄道を買収した中国の企業の話や中国企業が日本企業を買収する現在のM&A事情みたいな話に展開していく流れだが、単なる時刻表愛好家である私がM&Aの経緯を聞いても到底理解できないので、そのあたりの事情はスルー。大串部長の次の言葉を待った。

「2024年に廃止の意向を正式にうかがってからは、存続へ向けて地元の御坊市、商工会議所、和歌山県などと話をしているのですが……」

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