中心なきユーロはもはや維持不可能--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授


 スペインやギリシャのようなユーロ圏の国では若者の失業率が50%に達している。1世代が、維持困難に陥っている単一通貨の犠牲になっているのだろうか。もしそうであれば、ユーロ加盟を拡大することは、欧州の目標──必ずしも完全な政治的統合を達成することなく、経済統合を最大化する──に本当に寄与するのだろうか。

経済調査によって、少なくとも大きな国にとっては、通貨圏は国境に従わないかぎり、非常に不安定になるということが徐々に明らかになってきている。通貨統合には、課税やその他の政策に関して、欧州の指導者たちがイメージしているよりもずっと中央集権的な権限を持った連合が必要になる。

ノーベル賞受賞者の経済学者、ロバート・マンデルが1961年に示した「国境と通貨の境界は大きく重なる必要はない」という有名な推論がある。彼は、労働者が通貨圏内において、雇用のある場所に移動できるのであれば、為替レートを調整する平衡メカニズムはなくてもよいと論じた。

マンデルは、金融危機を強調しなかったが、労働移動性は今日、これまで以上に重要だと思われる。労働者がユーロ圏の危機状態の国々を去っているのは意外なことではないが、必ずしも、より経済力のある北部地域に向かっていない。

ではどこかといえば、ポルトガルの労働者はブラジル、マカオなどの好景気の旧植民地に逃れ、アイルランドの労働者はカナダ、オーストラリア、米国などに押し寄せている。そして、スペインの労働者は、最近まで同国の農業労働の主要な供給源だったルーマニアに流入している。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • カラダとおカネのよもやま話
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。