田中均・元外務審議官「高市外交、近隣諸国との関係構築が関門に」「日本が国力をもって、自身の立ち位置を定める必要がある」
――高市首相のアジア外交にも注目が集まっている。
近隣諸国との関係をどう構築するのか、アジアで行われる一連の会議は高市政権の外交にとって関門となる。米国が極端な行動を取り、同盟国を守るのか不信感が強まっているときに、地域内の国家は日本と連携を強化したいと考えている。しかし、周辺諸国からみれば、中国にパイプがあった公明党が連立から外れ、維新と連立を組んだことで高市政権のアジア外交に不透明感が強まっているのではないか。
日本はこの地域の安全に資する外交をする必要がある。てことしての防衛力強化は必要だが、フィリピンやオーストラリアなどとの安保協力に加え、日本独自の外交力で信頼醸成に注力すべきだ。さらには中国への関与政策が必要になる。関与の手段として中国をTPP(環太平洋経済連携協定)に加入させることも検討すべきだ。
自身の立ち位置を定めることが必要
――日本外交に必要な自立性とは何か。
自力で立つということは、米国との軍事的な一体化だけではない。中国は、日本を米国の追随者と見れば、対日政策を取る必要もないと考えるだろう。米国から当然視される日本は、中国との関係において役に立たない。
トランプ政権下で(米国の)政治体制は中国に近づき、グローバル課題での協力もなくなった。日本には経済分野のルール作りやグローバルな課題において協力する道は残っている。日中韓のマーケットを統合すれば、米国よりも大きくなる。これは米国との関係を壊すことではない。日米安保体制を抑止力として強化することと両立する範囲で中国を引き込める。それが結果として安保環境を改善することにつながる。
日本が国力をもって、自身の立ち位置を定める必要がある。小泉純一郎元首相の口癖だが、米国との関係を強化することでアジアの問題を解決できるし、アジアとの関係を強化することで米国にものが言える。こうした戦略性が重要だ。
(聞き手:豊田祐基子 編集:久保信博)
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