高市総裁が仕掛けた首班指名「多数派工作」の全内幕、何が国民民主・玉木代表との明暗を分けたのか
高市氏のターゲットは日本維新の会に絞られた。今年2月には自公維で高校の授業料無償化などの合意を形成。維新は2025年度予算案にも賛成した。そして14日と15日に2度にわたって行われた自民党の梶山弘志国対委員長と維新の遠藤敬国対委員長との会談であらましが合意され、15日午後には急遽、維新の吉村代表が上京することになった。すでに「首班指名での協力」にとどまらず、「自維連立」に向けた動きとなっていたのだ。
しかも、これらに並行して、多数派工作はさらなる広がりを見せた。15日には、NHKから国民を守る党の斉藤健一郎参院議員が自民党会派に入ったことが判明。「仲立ちしたのは西田昌司参院議員だ」と、ある自民党議員は証言する。

2人はかねてから交流があったうえ、参院でも過半数に届かない自民党は、議決に際して1人でも仲間が欲しい。西田氏は総裁選で高市氏を支援した1人で、高市氏も今年7月の参院選に出馬した西田氏の総決起大会に駆けつけている。
さらに、高市氏は16日に参政党の神谷宗幣代表と会談し、首班指名での協力を要請した。神谷氏は「国益を最優先する」としながら、高市氏との近似性を強調。「半分くらい重なるところがある。野党よりも近いと認識しているので、高市さんが首相になるなら、日本は少しいい方向に行くのかなという期待はある」と、まんざらでもない様子を見せた。
藤田氏の「眠れていますか」に高市氏は…
10月16日に開かれた自民党と維新の政策協議の冒頭、藤田文武共同代表が高市氏に「眠れていますか」と声をかけたのは、首班指名のために奔走する高市氏の体をいたわったためか。それとも、水面下での多数派工作を前提に「ほかといろいろ接触して、忙しくしていることは知っている」との牽制だったのか――。これに対して高市氏は、一瞬間を置いた後に口角を上げてみせている。
どんでん返しはいつでも起こる。昨年の総裁選で1回目の投票でトップだったが、2回目で石破首相に逆転された高市氏自身が一番よく理解しているのではないか。
だからこそ、高市氏は「ぎりぎりまであらゆる手を尽くす」と14日に述べた。玉木氏が15日夜のライブ配信で「(藤田氏には)がっかりした」「二枚舌」と漏らしたのとは違って、くだを巻いている余裕はないのだ。
“ガラスの天井”を破ったら、その上にもう1枚のガラスの天井が存在している。そのガラスを破りさえすれば、高市氏のみならず、国民にもまた、明るく暖かい陽光が降り注ぐのだろうか。
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