タイパ重視の時代に必要な変化とは…ターザン山本が提唱する、令和の"プロレス道場"のあるべき姿

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だが新日本とは決別して新生UWFを再旗揚げ。それもまた分裂。リングス、UWFインターナショナル、藤原組に分かれていった。

藤原組以外の道場には行ったことがない。すでに私の青春はその時、終わっていたのだ。

「令和の道場」はどうあるべきか

ここからは一転して現代の道場論になる。ずばり道場はその使命をすでに終えている。

かつて新日本の新弟子は入門すると即、丸坊主にされた。合宿所があるから住むことには困らない。食事も支給される。みんなタダだ。そのかわり先輩連中からは徹底的にしごかれる。イジメ抜かれる。そのせいでたいがいは夜逃げだ。

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きつい練習にも耐えて生き残るのは100人いたら3人ぐらいか。選手育成方法としては確率が悪い。そこまでして生き残った者しかレスラーになってはいけない。力道山時代から、それが鉄則だった。

これは現代の若者気質には合わない。彼らはすぐに有名になりたいと思っている。遠回りはしたくない。なるべく最短時間でスターになりたい。さらに先輩後輩という縛りも通用しない。それを強要されるとすぐ辞めていく。今の会社組織も同じだ。

だから令和の新日本は「道場」をプロレスラーを育てる「学校」にするべきだ。三食付き。寝泊まりあり。そのためには高い授業料を取る。期間を決めて。コーチはいくらでもいる。きっちりしたカリキュラムもつくる。レスラーはどうあるべきか? その講座も必要だ。プロレスラー養成工場、ファクトリーだ。

卒業した者にはそのまま旅立ってもらう。海外に行ってもいい。あるいは日本には様々なプロレス団体がある。オーディションやトライアウトに挑戦するのもありだ。もしかすると新日本が採用してくれるかもしれない。

「道場から学校へ」。令和のプロレスは新しくそこから始まってもいいはずだ。そのほうがスッキリする。さらば根性論! さらば昭和! さらばストロングスタイル! さらば道場! もはや後戻りはできない。時代はそうなってしまったのだ。

ターザン山本 元『週刊プロレス』編集長

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たーざん やまもと / Tarzan Yamamoto

1946年、山口県生まれ。立命館大学中退。『週刊ファイト』記者を経て、80年にベースボール・マ
ガジン社入社。 87年に『週刊プロレス』編集長に就任し、「活字プロレス」と呼ばれる独自のスタイルを確立。プロレスファンからの支持を集め、公称40万部の人気雑誌に成長。新日本プロレスから取材拒否を受けたことをきっかけとし、96年に退社。その後は、フリーランスとして活躍。2007年10月10日には、ジミー鈴木主催の「DiamondStars Wrestling」でプロレスラーとしてデビューを果たす。

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