"学校での避難訓練"は自宅では通用しないことも…「防災のプロ」が指南する【地震対応】の新常識

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学校では、「地震が来たら、すぐ机の下に逃げ込む」と言われていたかもしれません。防災訓練で、先生の号令とともに各自の机の下に潜った経験をお持ちの方もいるでしょう。

けれども学校と違って、家の中には家族全員がそれぞれ逃げ込める机はないのではありませんか? 食卓の下に逃げ込めばいいと思うかもしれませんが、大きな揺れではテーブルそのものが大きく動いてしまう可能性も高いのです。

とはいえ、家そのものが倒壊する可能性が高いのに外に逃げることが難しい場合は、机やテーブルの下に逃げ込むのが正解です。家の天井や壁が崩れてきても、机やテーブルが壊れることはまずないため、その下の空間を保てるからです。

自宅に「安全地帯」を作っておこう

地震が起きたとき、家の中ではどこが最も安全だと思いますか? 近年は「玄関」が最も安全だという声も聞きます。たしかに玄関は構造的に頑丈で、倒れてくる家具が少なく、リスクが低いと言えます。さらに、外に避難しやすいという利点もあります。

あるいは「階段の下」に空間があり、落ちてきたり飛んできたりしそうな物が近くになければ、そこに逃げ込むのも比較的安全でしょう。私の事務所にも、地震が起きたら「家族全員が階段下を目指して、素早く移動する」と申し合わせているスタッフがいます。

けれども、玄関にしても階段の下にしても、そのままで安全な逃げ場所になることは少ないと思います。たとえば「玄関」を安全な逃げ場所にしたいなら、

・玄関の棚に重い物を置かない

・天井まであるような靴箱の開き戸には留め具を付ける

・玄関の鏡は割れにくいものにする

このような安全対策を施したうえで、急いで駆け込むためには「廊下に余計な物を置かない」ようにして、動線を確保しておくことも必要です。

玄関にしても階段の下にしても、揺れがとても大きい場合、そこまで行くこと自体が困難です。思うように歩くことができず、しゃがみこむしかないでしょう。

私たちはこれまでたくさんの被災者にインタビューしてきましたが、大地震のときには「何もできなかった」と答えた人が大半でした。

次ページできたのは「早く収まってくれ」と念じるだけ
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