"学校での避難訓練"は自宅では通用しないことも…「防災のプロ」が指南する【地震対応】の新常識

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大地震に遭遇したら、「どうしたら大切な"物"を失わずにすむか」などではなく、とにかく「どうしたら"命"を守れるか」をまず考えて行動していただきたいと思います。

東日本大震災の津波で家が流されてしまったという女性がいました。でも、命は助かったのです。「命は助かったから、あとは何とでもなる」と笑顔で話していました。

命こそが最優先にすべきものです。もし、大地震が起きたときに「家の中にいては命の危険がある」と思ったら、すべてを置いて家から逃げてください。外にいる場合も、家が危険だと思ったら家に戻るべきではありません。

まずは、公園や広場などの、開かれた広いスペースを目指します。家が海岸や川に近く、津波の危険がある場合は、遠い所を目指すのではなく、高い所を目指して逃げてください。

たとえ強固な地盤の上に建てた、耐震性の高い家でも安心できません。なぜなら、周囲で「延焼火災」が多発する可能性があるからです。延焼火災というのは、放射熱や飛び火などによって火が他の建物に燃え広がることです。その延焼火災が多発すれば、消火は追いつきません。

自宅がだいじょうぶでも安心せず、周囲で火災が起きていないかに気をつけて、逃げ遅れることがないようにしてください。特に、古い建物が残る密集市街地域は危険です。

「トイレが安全」「机の下が安全」は昔の話

ところで、屋内にいるときに大地震に襲われたら、どこに逃げ込めばいいのでしょうか。

かつては「家の中ではトイレがいちばん安全だから、地震のときにはトイレに逃げ込め」と言われていたようです。たしかに昔ながらの木造家屋のトイレは、四隅の柱と梁の距離が近いので崩れてくる心配が少なく、家具も大きなガラス窓もないため、家の中では比較的安全な場所でした。

ですが、近年の家屋のトイレには、四隅を頑丈な柱で囲まれていないタイプもあります。また、タンクが割れて水が噴き出たりするケースもあります。ですから、必ずしもトイレが最も安全とは言えないのです。

頑丈なトイレでも、廊下に置いていた物が倒れて扉が内側から開かなくなり、逃げたつもりが閉じ込められて「雪隠詰め」になってしまう可能性もあります。

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